2011年8月28日日曜日

ライブの浮き沈み

 自宅近くの農園倉庫で実施された「篠路チョボラ農園収穫祭」の余興に出演。6月末に近隣の地域センターで実施した震災復興支援ロビーコンサートの折、声をかけてくれたOさんからの依頼である。
 Oさんは町内会長のほか、地域の高齢者や施設の子供を対象に「チョボラ」(ちょっとだけボランティア)という名の支援活動を精力的に続けている。

 外は快晴でしかも30度近い暑さ。収穫祭には絶好の天気で、この日は町内会の草刈ボランティア作業の日でもあった。しかし、時間が完全に重なっていて、掛け持ちは無理。代りのいない余興出演を優先とした。
 収穫祭には畑作業に関わった地元の中高年のほか、同じく地元にある児童養護施設の小学生24名も参加している。イベントは10時開始で、役員や来賓の挨拶がまずあり、その後トウキビやジャガイモを収穫し、その場で調理して食べつつ、私が歌うという段取りだった。
 あいにく電源が使えず、広くて天井の高い倉庫に、電池駆動のPAを持ち込む。閉鎖空間でならまずまずの力を発揮するが、この種の容積の大きい空間では非力を感じた。だが、そんな泣き言は言ってられない。
 11時からライブ開始。「中高年と子供の両方が楽しめる内容で」という、難しい注文に頭を悩ませつつ、リクエストを交えて以下の8曲を歌った。

「カントリー・ロード」「憧れのハワイ航路」「ピクニック(イギリス民謡)」「大空と大地の中で」「マル・マル・モリ・モリ」「高校三年生」「となりのトトロ」「上を向いて歩こう」


 結論を先に書いてしまうと、悩んだ割にはまるで手応えのないライブだった。わずかに盛上がりを感じたのは、中程の「マル・マル・モリ・モリ」とラストの「上を向いて歩こう」くらい。
 理由はいろいろ考えられるが、聴き手の大半が子供たちで、しかも小学校低学年。中高年の聴き手は来賓として招かれた方々4~5名だけで、他の大人は少し離れた場所で調理に忙しく、歌どころではない、といった状況。
 大人の補助なしで低学年の子供を30分も引きつける力量は私にはない。時間がお昼近くで、作業と暑さに疲れた子供たちは、歌よりも食べるのに夢中、といった印象である。
 高齢者対象のライブでも、「空腹時にはやらない」「食事をしながらやらない」という鉄則がある。人間、年に関わらず、まずは食欲なのである。

 救いは「マル・マル・モリ・モリ」で6~7人の子供たちがトウキビを置いてその場で踊ってくれたこと。それだけこの曲がいま、子供たちの間で強い、ということだ。
 もうひとつは、調理を続けていた数人の大人がラスト曲になってようやく宴に加わり、手拍子で場を盛り上げてくれたこと。「上を向いて歩こう」の曲の強さにも助けられたが、おかげで最後だけはにぎやかに終えることができた。こうした周囲の大人たちの支えが最初からあったなら、宴はまた別の形になっていたであろう。

 ともかくも、私を買ってくれたOさんへの義理は果たした。「お祭り系イベントに弱い」「子供相手には弱い」という私の弱点をさらけ出してしまったが、もはや克服は困難のようにも思われる。
 かなり落ち込んで帰ってきたところへ、昨日参加した「チカチカ☆パフォーマンススポット第1期公開オーディション」の合格通知がメールで届いていた。全員合格かと思いきや、合格率は70%前後。公的な場、しかも札幌都心に完成したばかりの晴れやかな場なので、そんなに甘くはなかったということだ。
「引率」してくれた妻からは、終了後に「難しいかも…」と言われていただけに、パッと気持ちが明るくなった。このところライブの浮き沈みが激しく、まるで人生のようではないか。