2007年12月18日火曜日

どすこいコート

 父が新しく暮す施設に、入居費自動振込の手続きをしに行った。衣類整理用の新しい段ボール箱も2個置いてきた。いつまた病院に入院するか分からない状況なので、大袈裟な衣装タンスではなく、小回りのきく段ボール箱がよいと施設から言われている。
 帰り道、すぐ隣にあるイトーヨーカ堂に寄る。秋からずっと妻の冬コートを探していて、そろそろ安くなっているのでは?と妻が言うのだ。

 やれ丈が短いだとか、色が白過ぎて汚れが目立つとか、はたまた黒過ぎて老けて見えるだとか、あれこれ一緒に見繕ううち、ようやく手頃なものを探し当てる。値札は1万円だが、翌日まで限定の年末特価で24%引。これ以上ない条件で、ようやく買った。
 お金は妻のパート先から支給されたボーナスの一部で調達。近頃はパートでもちゃんとボーナスが出る。


 これまで着ていた真冬のコートは写真右の重くて分厚いもの。当時すぐ近くにあったダイエーで買ったが、こちらもバーゲンで数千円だった。
 東京から北海道に越してきた最初の冬に買ったものだから、かれこれ25年も経つ。これだけ着るとあちこち傷みがひどいが、毛糸の裏地がついているので暖かく、それが延々と着続けてきた大きな理由。
 このコートには特別な名前がついていて、「どすこいコート」という。命名者は私で、着膨れして力士のように太って見えるというのがその由来だが、このコートには脱サラや子育てに伴う、いろいろな思い出もぎっしり詰まっている。つまり、「どすこい、どすこい」と事業の手伝いや子育てに奮闘する妻の姿をなぞってもいたのだ。

 今日はゴミ収集日なので、他の不要な古い衣類と共に、とうとう捨てた。左の新しいコートは着脱式のボア付きフードがついていて丈が長く、厳しい風雪にも耐えられそうだ。何より素材の進化で、軽くて暖かい。暖色系の色も、六十路が近い妻によく似合う。
 はてさて、新しいコートが新たなる家族の歴史を、いつまで見守ってくれるだろうか。