大工さんの朝、つまりは現場の始まりは早い。陽が昇ると働きだし、沈むと道具を片づけて家に帰り、風呂に入って酒を飲み、メシを食って眠る。そんな人間の基本的な生活パターンを、ひさびさに味わった。気分は悪くない。
もうひと冬、様子を見なくてはならないが、改修工事はほぼ予定通りにうまくいった。問題の原因を丹念に探り出し、改修のメドをつけ、具体的な対策をたてて図面を引くが、事がアタマで考えた通りに運ぶとは限らない。
時には現場で方針変更の即断を迫られることもある。終日現場に張りついた理由はそれだが、今回に限れば、図面と現場の大きなズレはなかった。
この1年以上、いろいろと悩まされた事象のすべてに、昨日で一定の方向づけがなされたと思う。辛く、苦しい道のりであったが、投げ捨てずにねばり強く対処した。ホロスコープ(星占い)にも出ているが、負の循環に終止符が打たれ、どん底は脱したと信じたい。
まだ振り返るのは早過ぎるが、今回の底は脱サラ独立後25年で最大のものであったかもしれない。たった独りで事業を切り盛りすること自体、山や谷の連続が宿命で、いちいちそこから逃げたりメゲたり驚いたりしていては、自由業など勤まらない。
還暦を目前に控えて、よい勉強をした。次の谷がきても、あわてずに対処できるかな?