2007年10月4日木曜日

禁断のマヤク

 9月末に引合いのあった設計図面補助とネット住宅相談の仕事は、諸事情でいずれも無期延期となった。上昇の兆しありとはいえ、まだまだ運気のナベ底状態にいることに変わりはないようで、少しも気を緩めることはできない。
 過去数年の記録を調べてみると、10月はおしなべて暇。そうだったかもなと、1年前のことはすっかり忘れてしまっている。

 先月末に採用された新聞投稿の謝礼が届いた。地元紙なので2000円。しばしごぶさただが、全国紙ならばこれが3000円のはず。
 投稿を始めた20代の頃は確か地元紙でも500円で、毎回500円札の岩倉具視が現金書留封筒で送られてきた。いまは普通郵便のギフト券になり、金額も上がった。


 字数制限の関係で前回書き切れなかったが、芥川賞や直木賞をポーズではなく、本気でネラっている人は、新聞や雑誌の投稿などしてはいけない、とよく聞く。なぜなら、そのような人は基礎的な文章力や構成力があり、投稿すれば簡単に載ってしまうからだそう。
 つまり、書いた自分の文章が即、活字という具体的で魅惑的な形になり、しかもそれなりのお金までいただけてしまう。いわば甘い禁断のマヤクを瞬時にあてがわれるようなものだからで、本格的な作家をめざすにはこれが大いにマイナスとなるらしい。越えるべきハードルが、知らず知らず低くなってしまうのだろう。
 ブログにも同じようなことが言えそうだ。新聞や雑誌の投稿と違い、ブログを書いても普通はお金になどならないが、「自分の書いた文章が、たちどころに世界中に具体的な形となって提示される」という、もしかすると新聞や雑誌の投稿以上のマヤク的な喜びに浸れるからだ。
 この「ブログを書くという行為に介在する禁断のマヤク中毒」をよくわきまえていないと、ちょっと困った状態に陥ることがあるかもしれない。自分で自分の甘さをコントロールするのは、至難の技なのだ。