2022年10月13日木曜日

療養めん

 退院して1週間、術後2週間が経過した。体調に大きな変化はなく、食生活や日常活動での療養に努めた結果、退院時に48.8kg(手術前は50.8kg)だった体重はじょじょに回復し、現時点で50.2kg。実に1.4kgも増えた。
 このペースを保てば、BMI18.5に達して低体重を抜け出せる54kgも夢ではない。

 食生活は退院時に受けた栄養指導とネット情報を中心にしてすすめている。
 朝食はバターロール2個にバナナ、蜂蜜、チーズ、アセロラジュースと入院前に比べ、代り映えしない。不足している野菜を使ったスープ類を追加するべく、画策中。


 昼食はこれまでと同じく麺類中心だが、麺を柔らかめにして薄味の汁にするほか、栄養のバランスを考慮して具を大幅に増やしている。

・麺:うどん、そば、グリーン麺(冷麦)、そうめん
・具:卵、野菜(白菜、山東菜、大根、ネギ)、とろろ昆布、麩

 ネギは病院食に習い、汁に煮込んでいる。消化のいい食材ばかりで胃腸にやさしく、栄養価も高い。名づけて「療養めん」。制限解除後も続けたい味だった。
 夕食に続けていた全粥は数日でやめ、すでに普通食に近い柔らかめのご飯に戻した。
 オカズは消化のよい食材が中心で、刺激物や油ものは当分禁止。高野豆腐を中心にした煮物を3パターン考え、自分で作って毎日食べている。納豆も日々欠かさない。

 嗜好品は珈琲の代わりに薄く入れた紅茶に牛乳を加え、朝食と昼食の間とオヤツタイムに飲んでいるが、なかなか美味い。
 オヤツはビスケット、カステラ、ウェハース、プリンなど。消化の悪い豆類、カフェインを含むチョコレートは当分食べられそうにない。
 夕食後には果物缶詰にヨーグルトをかけてデザートとして食べてる。間食を増やし、胃の負担を避けて少量ずつ食べる作戦だ。

収穫期を迎えた地元産の玉ねぎ

 退院時に指導はなかったが、日々の散歩とストレッチ体操は、退院3日後から再開した。ネット調査によると、胃ガン患者は筋力維持のため、積極的にリハビリをすべき、とある。
 8日に及んだ入院での運動不足がたたり、ひどい便秘状態に陥ったが、散歩を再開したとたんに改善した。やはり運動は大切だ。
 車の運転は昨日から始めている。近隣のスーパーに買物に行く程度で、遠距離ドライブは当分無理。療養時にコロナ感染してはならず、外食もしばらく控える。

 何かと制約は多いが、退院時に渡された書類によると、食事に関しては7〜10日でじょじょに普通食に戻してよい、とある。もう少しの辛抱だ。

2022年10月6日木曜日

7日ぶりに帰宅

《入院8日目(手術後6日目)》
 退院の朝が明けた。外は寒いが雨も上がって、空は晴れている。
 朝の検温では36.1度と、入院以来の最低値を記録。看護師さんと退院手続きについて打ち合わせる。朝食後に着替えと片づけを完全に済ませてから、ナースコールすることに決まる。

 8時5分から最後の入院食となる朝食。通常食になってからはどの食事も美味しく、残さず食べた。豊富な食材や味つけなど、いい思い出しかない。
 メニューは全粥、かに風味つみれの卵そぼろ&焼売&インゲン煮物、鶏挽肉&ほうれん草の甘味噌和え、とろろ昆布すまし汁(ネギ)、みかん缶詰、牛乳。
 ほうれん草は初めて登場した。味噌和えは自宅でもやれそう。すまし汁に入っていたネギは細かく刻んで予め煮込んであった。潰瘍食としての処理で、こちらも自宅で応用できそう。


 食べ終えて少し休んだのち、荷造りに取りかかる。途中で薬剤師の方が現れ、14日分の薬を渡される。左腕にずっとつけていたバーコード付の認識票も外してもらった。
 9時15分までに荷造りは終わったが、念のため指差し確認すると、ハンガーにかけたタオルを入れ忘れていた。そのまま会計書類ができるまで部屋で待ち、9時半過ぎにようやく書類が届く。

 1階会計で入院費をカード払いし、テレビのICカードを精算。冷蔵庫が4日で400円、テレビが4時間弱で180円、計580円と案外少ない。後半はテレビをネット経由で観たせいだろう。
 入院総費用は予想よりも高く、9年前の大腸ガンのときと比べて3倍近くかかった。入院が月をまたいで治療費が2分割され、高額療養費の対象にならなかったのが大きい。
 ESDという難易度の高い手術をやり、入院期間が3日から8日に増えた事情もあるが、命を救ってもらったと考えると納得できる。


 9時50分にすべて終了。帰路は無理をしないでタクシーを利用するよう、妻から強く言われていた。そのタクシーがなかなかつかまらず、自宅到着は10時半ころ。
 妻は買物に行った様子で留守。しばし片づけをするうち、戻ってきた。7泊8日を独りで過ごした心労のせいか、頬にやつれが目立つ。まるで2人で入院していたようだと笑い合った。
 昼食は妻が卵うどんを作ってくれた。家庭菜園の山東菜も入っている。麺類は10日ぶりくらいか。副食にカボチャの煮物、デザートにバナナも食べて、病院のメニューを真似た。

 この1週間の出来事を互いに話しつつ、荷物の片づけも少しずつやって、やがて久しぶりのおやつタイム。
 珈琲は妻だけで、私は3倍のお湯で薄く入れた紅茶に牛乳を加えて温めた。買い置きしてあった和菓子やクッキー類をあれこれ食べる。

病院食を参考にした退院後最初の夕食

 夕食までの時間、今後の食事の参考にするべく、デジカメに保存してあった病院食を妻と共に閲覧。今後しばらく続く療養食のイメージを高めた。
 プロの技を参考に、夕方までに妻が2品、私が1品のオカズを作った。こんな感じで、しばしの療養生活へ入ってゆく。残るは病理検査の結果待ちだ。
(1週遅れの記事は、今回で終了です)

2022年10月5日水曜日

退院間近か

《入院7日目(手術後5日目)》
 微熱が解消されたせいか、よく眠れた。朝の検温は36.8度で、血圧は110/60。消灯中の早朝に採血がある。結果が良好なら、退院のスケジュールが提示されるかもしれない。

 8時から朝食。全粥のほか、副食として蒸し鱈(鯛味噌)、かぼちゃの煮物、シジミの味噌汁、きゅうりの酢の物、牛乳。
 貝類は控えるべき食材で、シジミの身は自主的に残した。全体的に薄味で、残った鯛味噌を粥や酢の物に載せて食べた。


 食事の際は毎回必ず本人確認がある。たとえ顔見知りの看護師さんであっても例外はなく、名前と生年月日を言わないと食事にありつけない。
 お膳には病室番号、当日日付、患者ID、患者氏名、食事の種類などが記載されたプレートが載っていて、毎回本人との照合が行われる。病院では注射や検査と同様に、食事も医療行為の一環なのだ。

10月になり、病院でもハロウィン

 朝の回診に現れた医師(主治医ではない)から体調など尋ねられたが、昨日の医師と同様に「そろそろ退院ですね」と繰り返すだけで、具体的な話はなかった。入院して1週間が経過し、退院通告を期待していたが、今日はまだ無理のようだ。

 昨夜から急に気温が下がり、寒くて寝つきがよくない。朝の検温時に看護師さんに訴えたら、追加の毛布を貸してくれた。入院時から毛布は1枚のみで、ずっと寒さを感じていたが、早く確認すればよかった。


 昼の検温では36.6度の平熱をキープし、12時15分から昼食。
 全粥、蒸し鶏&マカロニ、里芋&人参の煮物、白菜のゴマ和え、黄桃缶詰と豊富なメニューだ。好きな味噌汁がなく残念だが、里芋&人参の煮汁を飲んで代用した。好物の黄桃が初めて登場してうれしい。
 昼食後、久しぶりにテレビを点けて北大路欣也の2時間推理ドラマを観る。函館を舞台にした5年前の作品で、なかなか面白かった。
 推理ドラマは妻とよく観るが、独りだと犯人を互いに予想しあったり、ストーリーの矛盾をついたりできないのが残念。


 観終わって1階のローソンにエレベーターで移動し、オヤツ用にDoleのりんごジュースを108円で買ってきた。自販機より容量が少ないが22円安く、こちらは果汁100%。美味しく飲んだ。

 18時10分から昼食。メニューは全粥、鮭フライ&茹で玉ねぎとピーマン、大根と小海老の煮物(細ネギ)、山東菜の煮浸し(花鰹)。17時過ぎから空腹で待ちかねたが、食べ足りなくてお代りしたいほど。体力の回復を感じる。
 鮭フライは油をほとんど使わず、衣が白い不思議な仕上がり。どう料理したのか不明だが、とても美味しい。
 最初小松菜だと思った煮浸しは食感が異なり、茎も細い。なんと我が家の家庭菜園で欠かさない山東菜だった。ここで会えるとは夢にも思わず、懐かしく食べた。


 里心に浸っていたら、19時に主治医がやってきて、明日の退院を告げられた。血液検査で多少の炎症を示す数値があり、微熱の原因はおそらくそのあたりだが、(夕方の検温で37.1度)基本的には問題なく、日常生活に戻ってよいとの診断。
 帰宅にむけて、明日の朝食後に準備したい。さっそく妻にも電話で報告。昼食は久しぶりに自宅で食べることになりそうだ。

2022年10月4日火曜日

微熱傾向が続く

《入院6日目(手術後4日目)》
 朝の検温では37.2度と昨夕よりも下がったが、相変わらずビミョーな数値。
 ネットで調べると、「治療した部位が治癒する過程で人体が反応する熱」「風邪などの熱とは異なる」「治療後3日前後で消失」とある。今日で術後4日目となり、じょじょに改善されると期待しよう。

 入院時に手渡されたスケジュール表では、今日が最終日となっている。微熱以外にこれといった症状もなく、食事も完食して体重も維持しているが、平熱に戻るまで退院は難しいか?


 8時10分から朝食。今日から主食が全粥に変わり、より食べ物らしくなった。副食は玉ねぎ&人参&麩の卵とじ(刻み海苔)、小松菜の煮浸し、サツマイモの味噌汁、牛乳。
 消化の悪そうな小松菜の茎は残した。サツマイモも消化はよくないはず。病院で年に20回ほどしかないという胃ESD手術患者だけのために、特別な食材の配慮はできないのだろう。


 食事はベットにあぐら座りして食べるが、ずっとその姿勢だと膝が痛くなる。圧倒的に時間が長いPC作業は、ベットを椅子代わりにして腰掛け、足は床に置いてテーブルを斜めに引っ張り出してやっている。
 転倒しやすいスリッパは禁止で、ホームセンターで安いデッキシューズを買ってきた。裸足でもOKで、履くのも簡単。母が施設で暮らしていた時期にも似た靴を使っていた。

 昼の検温では体温37.3度、血圧100/60で、微熱傾向は続いている。検温時に手術前から胸の3ヶ所に装着されていた心電送信機がようやく外された。


 12時15分に昼食。メニューは全粥、鱈&いんげん&パプリカの煮物、じゃがいも&玉ねぎ&鶏挽肉の蒸煮、茹でキャベツ&コーンの和え物、りんご。
 和え物にはマヨネーズに似た食材を使っていたが、マヨネーズは「控えて欲しい食材」とリストに記載されている。ヨーグルトに調味料を加えて代用している可能性が高い。


 14時に入院後3度目のシャワーを浴びる。シャワー室は狭いが、最低限の機能は備わっている。入院以来着ていたレンタルの病衣を交換。
 初回のシャワーで石けんとシャンプーを忘れてきてしまったが、記名してあったので遺失物にならずに済んだ。今回は入念に指差し確認してチェック。

 シャワー後、昨日買ったりんごジュースの残りで独りおやつタイム。その後通話が許されているデイルームに行き、妻に退院の見通しなどを電話した。独り暮らしにも慣れ、元気でいるらしい。


 18時に夕食。メニューは全粥、鶏ミートボール&大根&オクラの煮物、ビーフン&小松菜&人参の煮物、小松菜&竹輪の煮浸し。ここまで食事は小松菜の茎を除き、すべて完食。どれも美味しく食べている。

 今日は夕食後に検温があった。微熱の不安に襲われたが、結果は36.7度の平熱に戻っていて、正直ホッとした。このまま明朝も熱が上がらなければ、退院が近づいてくる。

2022年10月3日月曜日

待望の通常食

《入院5日目(手術後3日目)》
 早朝に血液検査用の採血がある。体温36.6度、血圧100/52で問題なし。今日から食事が待望の通常食(五分粥食)に切り替わるため、持参の部分入れ歯を久しぶりにはめ、2日おきと決めているマスクを交換した。
 マスクは食事中と就寝中、そしてベット周囲をカーテンで閉じた状態では装着不要のルール。マスクは好まないのでカーテンは常に閉じてあり、医師と看護師の面会時と病室外に出るときに限って装着した。


 8時10分から朝食。メニューは五分粥、豆腐と玉ねぎ&小松菜の煮物、白菜の煮浸し、卵の味噌汁、牛乳。質素で量もわずかだが、絶食と味気ない流動食が続いた身にとって、このうえないご馳走。
 思わず「ゴーカですね!」と言ったら、持参の看護師さんが怪訝そうな顔をする。4日ぶりのまともな食事であることを告げると、納得してくれた。

 急いでかき込んでまた胃腸を驚かせてはならず、30分かけてゆっくり食べる。どれも美味しく、生きている喜びを感じる味だった。


 12時20分から昼食。同室内患者に検査や急な発熱などあり、少し遅れた。メニューは五分粥、白身魚&小松菜&葛きりの煮物、人参&大根のきんぴら風煮物、ツナとカリフラワーの蒸煮。

 通常食とはいえ、いわゆる「潰瘍食」なので、焼いたり揚げたりの料理は皆無。煮たり蒸したりの調理が大半だった。
 人参と大根の煮物はゴマ油の風味が効いていて、抜群の味つけ。退院後のレシピに、ぜひ取り入れよう。


 14時10分に最後の点滴がなくなり、入院日から延々刺さっていた点滴用の針がついに抜かれた。
 絶食となった手術日から栄養剤の点滴が始まり、4本→3本→2本→1本と、食事の回復に伴って段階的に減っていった。1本500mlあり、当初の2日間はトイレに追われたが、その苦行からも解放される。

 移動の煩わしさがなくなり、喜んでエレベーターに乗って1階の自販機に行き、りんごジュースを買ってささやかにオヤツとして飲んだ。(菓子類はまだ不可)

針跡で傷だらけの腕

 夕方に栄養士さんがやってきて、退院後の食事指導がある。満腹は避けてよく噛んで食べる基本のほか、控えるべき食品の具体例を教えられた。
 胃の全摘や部分摘出よりは制限がゆるく、ダメと思っていた紅茶、フリカケ、刺身、寿司、生姜などが、少量なら問題ないと知る。(ワサビは原則不可)アルコールはなくても気にしないが、珈琲が当分ダメなのが厳しい。薄い紅茶か牛乳で代用しよう。


 18時10分から夕食。メニューは五分粥、アコウダイとじゃがいもの煮物、キャベツ&麩の煮物、ナスの煮浸し。ナスの煮浸しは初めて食べたが、甘酢ふうの味つけが上品で美味しい。

 昼の検温で36.9度〜夕方の検温で37.4度と微妙な数値になってしまった。点滴が取れてうれしくなり、病棟フロアーをあちこち歩き回ったのがよくなかったのか?
 患部を切ったばかりであることを忘れないようにと、夕方の回診で主治医に釘を差された。インターネットや読書もほどほどにし、養生に努める必要がある。

2022年10月2日日曜日

流動食開始

《入院4日目(手術後2日目)》
 前夜0時近くに、ちょっとしたトラブルがあった。詳しくは書けないが、とある事情で同室の患者一人が別室に移動となった。患者側にも病院側にも、複雑な事情があるらしい。

 久しぶりによく眠れて、体調も安定。体温36.9度で血圧は110/50。8時10分から3日ぶりの食事が始まった。
 重湯と実のない味噌汁、牛乳という流動食(潰瘍食)だが、62時間何も食べていない胃袋には刺激的な味だ。
 胃腸が驚いたのか、食事の前後に2日ぶりの便通が続けてあった。看護師さんに状態を診てもらったが、胃から出血の気配はない。

 9年前の大腸ガン手術時には、翌日から普通食に近い食事だった。今回、固形物ゼロの流動食から始まったのは、患部に消化を終えた食べ物しか流れてこない末端のS字結腸と、未消化の食べ物が投入される胃という大きな違いがある。じょじょに慣らしてゆくしかない。


 週1回実施するという体重測定が11時にあった。結果は48.8Kgで、手術前日に量った50.8kgから、2kgやせた。
 丸2日食事抜きだから仕方ないが、大腸ガン手術の際は「入院中に2.4Kgやせた」と記録にある。今後退院までにどれくらい戻せるか?

 12時10分に昼食。メニューは重湯、実のないスープ、くず湯(片栗粉)、オレンジジュースと代り映えしない。


 朝食をとってから胃に膨満感があり、あまり食欲がない。味気ない流動食ということもあって、「何を食べても美味しい」という、前回のような満足感からは程遠い。

 あれこれ言いつつも、身体のためと思って全量食べたら、食後に2度も下痢をした。色は普通で出血や腹痛もないが、この日5度目の便通。
 ネットで調べてみると、流動食と大腸との相性が悪いように思える。看護師さんに訴えたら、無理せずに残してよいとのこと。明日から五部粥に移行するので、回復するとよいが。

退院まで装着していた心電送信機

 今日からシャワーが解禁となり、(入浴は当分不可)待ちかねて16時に予約をとった。
 点滴用注射針に防水処理をしてもらい、胸につけた心電送信機(心電図と呼吸数をナースステーションに24時間電波送信する装置)はいったん外す。シャワー後に下着も交換してさっぱりした。


 6時から夕食。重湯、麦芽系ポタージュ、乳酸飲料と相変わらずの流動食オンパレード。看護師さんに食後の下痢症状を訴えたせいなのか、昼食よりカップがひとつ減った。
 完食したが、朝食と昼食のような下痢は起きない。大腸が慣れてきたのか、はたまた時間をかけてゆっくり食べたせいか。

2022年10月1日土曜日

術後の容態は安定

《入院3日目(手術後1日目)》
 前夜は1時半ころに腕の痛みで目覚めた。実は手術時に点滴用針を刺した腕の一部に腫れが見つかり、0時の点滴液交換時に針の位置替えをやった。
 その際の処置が悪かったらしく、腕がさらに腫れている。左腕の針傷が増えて新たな針の位置が見つからず、やむなく右腕に移動した。

 ところが明け方にかけて今度は右腕の痛みで眠れない。腫れ上がった腕がまるで丸太のようだ。明らかに点滴液が組織内に流れ出している。5時の点滴液交換時に訴えたら、刺せる位置をどうにか探し、もとの左腕に移動した。
 移動だけで4回、テストが数回と、両腕は傷だらけになったが、その後はようやく点滴液がスムーズに流れるようになり、ストレスからは解放された。

安全のため、PC起動時にパスワード入力を設定

 体調自体に大きな変化はなく、体温37.1度で血圧は118/58。鎮静剤の助けもあって充分に寝たせいか眠気はなく、電子本で「ヰタ・セクスアリス(森鴎外)」を読んだり、バッテリが残り少なくなったノートPCで3人の子供たちに「手術無事終了」のメールを打ったりする。
 この日も水や食事は一切不可で、許されたのはウガイのみ。術後の患部状態を調べる内視鏡検査も予定されていた。
 ところが朝の回診で手術を担当した先生が現れ、早朝に採血した血液検査の結果が良好で、体温&血圧&心電図も安定しているため、内視鏡検査は行わないことを告げられた。
 2日続きの内視鏡を覚悟していたので、かなりの拍子抜け。しかし、容態が安定している証しでもある。予期せぬ朗報だった。

電源アダプタでバッテリが復活

 11時半ころに看護師さんが現れ、受付に家族からの届け物があるという。入院日にタブレットPCがネット接続できないとわかり、接続可能なノートPCをフル稼働させるべく、妻に電話して頼んだ交流電源用アダプタだった。
 さっそく包みを開けると、短い手紙も同封されていた。心配していたが、妻は妻なりに9年ぶりの独り暮らしを楽しんでいる様子。夫婦の晩年と今後にむけ、いいトレーニングになったかもしれない。
 お昼ころに薬剤師さんがやってきて、4日分の薬をわたされた。いずれも手術により強制的にはがした胃壁の修復と炎症防止が目的の薬。2度目の内視鏡検査がなくなったので、すぐに飲み始めるようにとのこと。同じ理由から、水とお茶がようやく解禁になった。


 冷蔵庫保存が必要な薬が一部あり、ベット横にある小型冷蔵庫用のICカードを千円で買った。付属のテレビ視聴と兼用で、9年前にも同じカードを使った記憶がある。
 200円で冷蔵庫が24時間運転、テレビは50円で60分視聴可能だ。余った分は退院時に精算できる。

 電子本やゲームにも少し飽きたので、気分転換に3日ぶりにテレビのスイッチを入れ、推理ドラマを30分ほど視聴。前回は未対応だったBS放送も観られ、時代の変遷を感じる。


 16時から地元コンサドーレ札幌VS川崎フロンターレの試合が中継されるというので、ベットに横になってかじりつく。相部屋なのでイヤホン必須だが、画面を自由に回転できて、病人にもやさしい配慮。
 試合は激しい点の取り合いで、二転三転。後半ロスタイムに劇的な決勝点が入り、コンサドーレが勝った。めったに観られない名勝負を堪能。見届けたのが病室であったことも、なにかの縁だったろうか。