「あんなところに小鳥がいる!」と台所にいた妻が叫ぶ。鳥くらい珍しくない地域だが、場所がウッドデッキ近くらしい。
「バードストライクかも」と応じると、ちゃんと動いているわ、と妻。
そっと回り込んでテラス窓越しにうかがうと、白と黒と茶の混じった小鳥がウッドデッキ床に止まっている。時折首が動くから、死んでいるわけでも失神しているわけでもない。
どうも様子がおかしいので、ガラス越しに写真をまず撮り、玄関側から回り込んでウッドデッキ側に出た。
近づいても小鳥の様子は変わらず、首は回すが飛び立つ様子はない。デッキ床にあがって「どうした?」と声をかけ、手で捕まえようとしても全く動こうとしない。野生の鳥なのに、これはおかしい。
よく観察すると、止まって見えたのは姿勢のせいで、脚が全く見えない。どうやらウッドデッキ床板に設けられた15ミリほどの隙間に、両脚がすっぽりハマってしまい、身動きがとれない様子。
おそらくはデッキ床にいた虫でも食べに来て、誤って両脚ごとハマってしまったのだろう。
このまま放っておくわけにもいかず、無理につかまえると脚を傷つけてしまいそうだ。考えたあげく、止まっている床板ごと持ち上げて脚の様子を調べようとした。
うまい具合に止まっている場所が取り外し可能な点検用の床板で、端からそっと持ち上げ、30度くらい左に傾けたとたん、鳥は一気に空へと舞い上がって飛び立った。どうやら傾けたことで脚が自由になり、束縛から解放されたらしい。まずはよかった。 家に戻って写真をGoogleレンズ(AIによる画像解析ソフト)で調べると、「ヒガラ」であることが判明した。近所では見かける鳥だ。
Googleレンズはよく利用する。写真内の外国語を翻訳してくれ、花や動物はかなりの確率で正式名称を教えてくれる。
マウスの右ボタンで一発検索が可能。スマホでも同様に使えて重宝するが、人名は苦手で検索を拒否されることが多い。