4月に知人の紹介で初めて歌ったグループホームに、再び歌いに行った。依頼は前回ライブの終了直後にあり、わずか3ヶ月後という間隔の短さが気になったが、最終的にはお受けした。
6月下旬に知人経由で、12曲分のリクエスト一覧が届く。曲順の指定があり、一部レパートリーにない曲もある。冒頭2曲がシャンソンという、通常の介護施設にはない難しさを感じたが、変更の余地はなさそうだった。
別の問題が、6月上旬から引きずっている体調の悪さ。充分な休養で倦怠感からはどうにか解放されたが、風邪のような症状からくる声枯れは延々続いていた。
毎日の黒豆茶による養生のほか、直前1週間の練習を1日15分以内にとどめる苦肉の策まで講じた。当日は発声練習のみとし、喉用の漢方薬と龍角散喉飴を飲んで備える。
ライブは14時開始で、50分かけて先方到着。会場は前回と同じ2階の食堂だった。
狭いことがわかっていたため、PAは小型の「ヤマハMS101-2」を使用し、軽量のアルミ製三脚に固定。エフェクターは持参せず、生音に近い感覚を心がけた。
予定を5分早めてライブ開始。35分で12曲を歌う。
(すべてリクエスト)(※は初披露)
「ろくでなし」「サン・トワ・マミー」「高校三年生」「リンゴの唄」「四季の歌※」「証城寺の狸囃子※」「あんたがたどこさ※」「川の流れのように」「青い山脈」「蛍の光※」「荒城の月」「東京ブギウギ」
調整がうまく運んだか、喉は最悪だった2週間前の有料老人ホームライブから、かなり回復していた。
ただ、ここ数日でまた腰痛がぶり返し、移動距離が長いこともあって状態は悪い。腰コルセットを装着してかばいつつ進めたが、水を飲もうと床に屈むと、ビリビリ痛んだ。
聴き手は20名ほど。場の嗜好はニギヤカ手拍子系で、冒頭2曲が手拍子のとりにくいシャンソン。場がようやく馴染んだのは、手拍子の合わせやすい3曲目の「高校三年生」からだった。 5曲目の「四季の歌」で、ちょっとした異変が起きた。叙情的な曲調に静まり返った場のあちこちで、涙をぬぐう姿が目に入る。人前で歌うのは初めてで、自分には向いている曲だと反応を見て思った。
あやうく流されそうになるのを、聴き手から極力目をそらすことでどうにか回避。歌い終えてただちに次のニギヤカ系の曲へと移行し、気分を一新させた。
「川の流れのように」以降は共に歌う声が途切れず、要望通り14時半に全リクエストを歌い終えた。前回と同様、場が求めていてもアンコールはナシ。
活動を始めて20年、大きな節目となる累計600回目のライブを無事に終えた。
今後のことは明確ではないが、心身の衰えを自覚し、強いストレスに苛まれると思い知った依頼型のライブはやめる方向。負担の少ない自由参加型か、近隣での完全ボランティアが活動の中心になりそう。