いつもはメモ帳に詩篇を箇条書きし、ギターを弾きながらコードをつけつつ、歌詞やメロディの微調整をする、という工程をとるが、今回は断片的な言葉をいきなり電子譜面に打ち込み、じょじょにイメージを高めてゆく、という新しい手法を初めてとった。
出だしの一節は「インターネットの検索欄で あなたの名前を探してみました」で決まり。2番ではストーリー展開して、「インターネットの検索サイトで あなたの写真を見つけました」と変わる。歌にとってのストーリー性は、非常に大事な要素と私は考える。
若き日のほろ苦い恋を中年女性の目線で振り返り、インターネットで過去の恋人の面影を探り、これまでとこれからの人生に思いを馳せる、というのが曲のテーマである。
「メール」を歌詞に入れた曲は10年前にすでに作ったが、インターネットそのものを素材に使ったのは初。時代の流れを考えると、歌にネットが登場しても何ら不思議ではない。
先週からライブが立て込んでいたこともあって、一気に仕上げには至らず、ずっと構想を温めていたが、今朝の布団の中での覚醒期に、突然全体像が鮮明になった。
メロディはほぼ完成していたので、歌詞の肉付けとコード付けを同時進行で実施。修正も含めて、すべてを電子譜面レベルで終わらせた。
_最後まで苦しんだのがタイトル。時にはタイトルから曲作りに入ることもあるくらいだが、今回はなかなか絞りきれなかった。
「残り時間」→「時への想い」→「溢れる想い」と推敲を重ねたが、どうもしっくりこない。いったんリセットし、視点を完全に変えて、歌詞とは直接関係のない言葉にしてみようと再考した。
「惜しむ」という言葉を入れることを思いつき、最後を「歌」で締めくくるアイデアが浮かぶ。「惜月歌」→「惜春歌」ときて、ようやく「惜恋歌」(せきれんか)というタイトルにたどり着く。
念のためネット検索をかけてみたが、現段階では同じタイトルの曲はない。オリジナルの造語だが、長渕剛の「巡恋歌」、手風琴の「惜春賦」、小林旭の「惜別の歌」などにヒントを得たのは明らか。しかし、自分としてはかなり気に入っていて、曲のテーマにもピタリ合致する。
微妙な節回しがやや流動的なので、今後歌い込みを重ね、なるべく早いうちにチカチカパフォーマンスあたりで初披露したい。
このところ新曲作りのペースが落ちていたが、「さあ作りましょう」と意気込んでも、そう簡単には落ちてこないのがオリジナル曲の難しさ。あせらずにじっと意識下で想いを温めているうち、ひょっこりと現れたりするもので、大切なのは想い続けることだ。