2009年11月6日金曜日

シャンソンコンサート

 都心のレストランにて、初めてのソロコンサートを開いた。しかも、これまた初めてのシャンソンコンサートで、聴き手も半分以上が初対面という初めてづくしである。
 先月、還暦コンサートという一生に一度の大イベントをやり終えたばかりだが、併行して数ヶ月にわたる準備はしていたので、どうにか本番にこぎつけた。

 ずっと続いていた雪や雨、低温などの不順な天気はウソのように消え去り、暖かな晩秋の気候。昨夜連絡のあった仕事の図面が予定よりも早く入ったので、まずは仕事を優先し、頃合いを見て簡単にリハーサルをやる。
 前回、後半で指がつった経験から、「練習のし過ぎ」に気を配り、フルコーラスは避けて要所だけを反復練習した。
 機材の梱包を始めたとき、いっしょに行く予定だったの妻の友人から電話。家族が突然のインフルエンザになり、感染の恐れがあるので、急きょ行けなくなったとのこと。病気なのでやむを得ないが、ずっと私のライブを見届けてくれている方なので、ちょっと気落ちした。
 もう一人の友人は、スケジュールをうまく調整してくれて、何とかOK。妻と3人で、午後5時15分に家を出た。


 先方に6時過ぎに着く。すぐに車から機材をおろし、設営にかかる。背景のスクリーンを含め、だいたい15分ほどで終わったが、どういうわけか自宅では何も問題のなかった右側のスピーカーから、また音が出ない。
 いろいろ調整しても復帰しないので、以前に試してあった「片方の端子に、両方のスピーカーをつなぐ」という裏技で凌ぐ。

 顔見知りのYさんが店内にいたので、音を聴いてもらいながら簡単なマイクテスト。ピーク時に音がやや割れるというので、メインボリュームを10%ほど落とすことにする。
 三々五々とお客様が集まり始め、小さなお店はほぼ満席に。時計はやがて開始時刻の7時を指したが、お店のオーナーが飲物等の準備に忙しく、開始を少し遅らせた。
 7時5分からコンサート開始。妻の友人がキャンセルとなったので、予約してなかったYさんが急きょ聴いてくれることになった。
 聴き手は14人。男性はこのYさんだけで、他はすべて女性という偏った聴き手となったが、これがおそらくシャンソンの特質なのであろう。


 正直に書くと、前半はいまひとつ気持ちが乗らず、集中力に欠けた。初めての場、多くの見知らぬ聴き手、友人の突然のキャンセル、弾き語りの名手であるYさんの参加、予想よりもかなり明るい店内等々、難しい条件があり過ぎた。
 声はまずまずだったが、ギターのピッキングには細かいミスが出た。後で妻に確かめたら、全然気にならなかったというが、分かる人には分かる。難しい条件下とはいえ、まだまだ修行が足りない。
 7時45分で前半を終え、10分という長めの休憩を入れる。店のあるビルのトイレが、管理上8時までしか使えないというのだ。しかも、このトイレが1室のみで、10分でもギリギリの時間だった。

 7時55分から後半開始。休憩時に何人かの方が声をかけてくれ、そう悪い出来でもないことが分かり、かなり気持ちが落ち着いた。
 後半はシャンソンの特徴である「語り」を随所に入れた曲を中心に構成した。ピッキングが不安定なので、ギターの音量を落とし、ボーカル主体で歌う。会場からもかなりの手応えを感じた。

 開始が遅れ、休憩も長かったので、アンコール2曲を含めた終了が8時40分。予定よりも10分ずれたが、この日に限っては無理に時間内に収めず、場の自然な流れに任せた。これで正解だったと思う。


 終了後、未知の方ともいろいろ言葉を交わす。不思議なことに、心に残ったという曲は、「メガネを買う」「独り」「夕映えの髪」などのオリジナルが多かった。新しい自分を見つけ、今後進むべき方向が見えた気がした、貴重なひとときだった。
 この日歌った曲は、以下の20曲。(※はオリジナル)

前半
「奥様お手をどうぞ」「パダン・パダン」「メガネを買う※」「わかっているよ」「もっと※」「愛しき日々※」「河は呼んでいる」「水の中のナイフ※」「ドミノ」
後半
「冬よ来い※」「雪が降る」「ほしのはだ」「宵待草」「恋心」「独り※」「夕映えの髪※」「詩人の魂」「サン・トワ・マミー」
アンコール
「星影の小径」「ラ・メール」