2023年6月10日土曜日

にじ色コンサート

 4年ぶりに近隣の地区センター、篠路コミセンで歌った。
 ここでは過去にいろいろな形で計13回歌っている。直近では新型コロナ禍前の2019年9月「篠路シルバー水曜大学」修了式ライブ。事前申込みが必要な有料イベントで、場所は体育館ホールだった。
 今回は2014〜2015年に3回実施したロビーコンサート「叙情歌サロン」に準じ、予約不要&出入り自由の無料イベントとした。

 歌う場所はこれまでのロビー奥展示コーナーから、より開放的な大ホールの壁際に変更。吹抜け天井のある大空間で、音響や換気面で利点があり、客席間の距離も広くとれる。収束傾向とはいえ、まだまだ新型コロナに対する配慮は欠かせなかった。
 復活ロビーコンサートとしての企画書を提出し、6月に実施する方向で正式受諾されたのが2月6日のこと。4ヶ月の準備期間は、長いブランクを埋めるには充分な時間だった。


 タイトルは心機一転の意味をこめ、「篠路コミセン・にじ色コンサート」に決定。虹にちんなで7つのジャンルから曲を選択。開始時間も午後2時(にじ)とシャレた。
 コロナ禍直後という事情から、告知は自分のブログと地区センター作成のポスターのみ。個人的な集客は地域カフェ関連1名にとどめた。

 愚図つく梅雨模様の天気が続いていたが、当日は雨もなく、まずまずの天候に恵まれた。
 13時10分に会場入り。予備ギターやギタースタンドなど普段より機材が多く、妻には機材運搬と写真撮影係を頼んだ。すでに20席ほどの椅子が間隔を開けて並んでいて、ステージと最前列との距離は広めの5メートルほどあった。
 ただちに設営を開始。PAが2台あってやや手間取り、13時20分にスタンバイした。


 大ホールでは2011年の復興支援コンサートでも歌っているが、感覚的には初めてに近く、館長さんに客席最後尾に立ってもらい、入念にリハーサルをする。
 PAは2台準備したが、サブPAはないほうが聴きやすい、という館長さんの意見に従い、メインPAのみで歌うことにした。
 実は2011年のコンサートでは、メインPAのみだった。天井が高いせいで、音響効果が微妙に変わるようだ。


 開始15分前くらいから席がじょじょに埋まり始め、5分前には満席状態に。急きょ椅子を増やすことになる。
 14時ちょうどにコンサート開始。館長さんの簡単な挨拶と紹介があり、すぐに歌い始めた。
 コロナ禍直後ということで演奏時間は1時間と短め。前半を7つのジャンルから1曲ずつチョイス。後半はジャンル分けが難しい曲も含め、計14曲を休憩なしで歌った。
前半
「時の過ぎゆくままに(沢田研二)」…J-POP
「いい日旅立ち(山口百恵)」…昭和歌謡
「月の沙漠」…唱歌
「恋の町札幌(石原裕次郎)」…演歌
「夢一夜(南こうせつ)」…フォーク
「思い出のグリーングラス(森山良子)」…洋楽
「ミネソタの卵売り(暁テル子)」…懐メロ

後半
「瀬戸の花嫁(小柳ルミ子)」…昭和歌謡
「空も飛べるはず(スピッツ)」…J-POP
「空港(テレサ・テン)」…演歌
「どうぞこのまま(丸山圭子)」…フォーク
「桃色吐息(高橋真梨子)」…J-POP
「君をのせて(井上あずみ)」…アニメ
「オー・シャンゼリゼ」…洋楽


 1週間前から黒豆煮汁を飲むなど、入念に調整したかいあって、喉の調子はまずまず。1曲の持ち時間は4分しかなく、MCは少なめにしてトントンと歌い進んだ。

 長いブランクがあり、新型コロナ禍の癒えぬ状況下で集客には不安もあったが、最終的には前回と変わらぬ40人ほどの集客にこぎつけた。ホール上部の2階通路で立ち見している方も数名いた。
 告知ポスターは館内掲示のほか、町内会でも回覧してくれたのが大きい。地域イベントではアナログ的手法が効果的と思える。
 数曲歌ったところで、館長さんからボリュームを上げて欲しいと要請がある。空席だったリハーサルの時点から客が増え、音が吸われて状態が変わったようだ。ただちにボリュームとリバーブを上げて対応。

 直前に実施した別の歌イベントでは、全員がマスクなしでの歌唱だったという。それに合わせ、ライブ中のみマスクを外した。聴き手は全員がマスク姿で、ステージからの距離が遠いこともあり、表情が読みにくい。
 場は全体的に静ひつで大人しく、ライブ演奏に対して長いブランクがあるのは聴き手も同じ。反応は1曲ごとの拍手で推し量るしかなかったが、決して悪いものではなかった。


 低音部の音程やロングトーンでのフェードアウトなど、細部に気を配りつつ、ていねいに歌い続けるうち、場の手応えがじょじょによくなってきた。
「空港」では曲紹介の時点で歓声と拍手が起こり、思わず「ありがとうございます」と応じた。直後の歌唱には感情が入り過ぎ、あやうく泣きそうになって際どくこらえる。
「桃色吐息」では「ジョニィへの伝言」「for you…」の3曲から客席の拍手で選んでもらう「三択リクエスト」の趣向を久しぶりに仕掛けた。

 ラストの「オー・シャンゼリゼ」では手拍子も飛び出し、14時55分に終了。事前の打合せでは館長さん主導でのアンコールを予定していたが、期せずして会場から「アンコール!」の声が複数あがる。
 つまりはお約束ではない「真のアンコール」だった。準備していた「上を向いて歩こう」をありがたく歌わせていただく。


 終了後、館長さんからやや長めの挨拶がある。長く苦しかったコロナ禍対応の日々が、歌と共に蘇ってきたという。予想を超える盛況で、ようやくここまでこぎつけましたと、感極まった様子。
 クラスターを出すことなく無事に3年間を乗り切ったが、責任者として相当の気苦労があったに違いない。

 撤収中にいろいろな方から声をかけていただく。自ら企画したこともあり、失敗の許されない状況でのライブだったが、これといったミスもなく無難に乗り切った。
 初めて使った電子譜面表示の10インチタブレットは液晶明るさを95%に設定した関係で、バッテリが90%から52%まで減ったが、表示自体は問題なく機能した。
 年齢的にも次回があるかどうかわからない状況で、毎日少しずつでも歌い続けることで、あるかもしれない「次」に備えたい。