西洋のコトワザによると、冬は「ライオン」ということになっている。対する日本では「冬将軍」。語源はナポレオンのシベリア遠征らしいが、言葉としてあっさり定着した。
かたやケモノの王様で、かたやオカミの代表である将軍。このあたりに民族性の違いが出ていて、大変興味深い。
祖先が狩猟民族である西洋では、厳しい冬が強いケモノであることは理解できる。しかし、力を合わせて知恵を絞れば、何とか退治することは叶うはず。
ところが農耕民族を祖とする日本では、相手がとにかく「将軍」だ。ジタバタ手向かうことはあきらめ、ただひたすらヒレ伏して相手のなすがまま、といった印象。
この二つの異なる思考回路は、文明とやらが進んだ現代でも、ちっとも変わっちゃいない気がする。私しゃ冬なんぞに迎合しませんが。
雪かきという格好の運動がなくなってしまったので、運動不足気味。溢れかえる仕事の山で、つい閉じこもりきりの生活に流されがちで、油断しているとまた病魔が忍び込んでくる。
そこでしばらく中断していた昼休みの散歩を再開した。いつもの散策コースのひとつを辿ったら、途中が雪の山で通れなくなっている。やむなく引き返したが、それなりの距離は歩いた。
川面の氷はすっかり解け、ゆるやかな春の流れである。木々はまだ固く閉じているが、芽吹きは近い。暖かな日和だ。長い冬がようやく終わった。