2025年9月1日月曜日

電動ドリルで力技修復

 9月最初の地区図書館〜本修繕ボランティア活動日、計5人のメンバーが集まった。最初に前回から持ち越した修繕本の状態を調べる。

 対象3冊のうち、ページ外れで再補修となった絵本と文庫本には問題がなく、補修完了となる。
 前回新規に手掛けたページの多くが外れた絵本の修復は、無線綴じからタコ糸での平綴じへの変更を終え、背に寒冷紗を貼った状態で終わっている。


 外した表紙と見返しの状態がやや悪く、本体をどう接着すべきか係員と長い協議のすえ、従来通りに見返しと表紙の接着を一部はがし、隙間に本体から出ている寒冷紗を滑り込ませ、ボンド接着させることに決まる。
 いつもは両側を一度に接着するが、見返しの傷みを考慮して作業は片側のみに限定。表紙&見返しと共にクリップ固定しただけの反対側本体は、ボンド硬化後の次回に持越しとなる。


 開始1時間を経て、ようやく新規の作業にとりかかる。
 1年前に難しいノコギリ補修を手掛けた厚い昆虫図鑑に再びページ外れが発生していて、担当は私だったこともあり、再補修手段に関し、係員とずっと検討を重ねていた。

 結論はこのところ多くなっている安全確実なタコ糸による平綴じへの変更。
 ノコギリ補修は開きやすくて見映えもよいが、扱いが乱暴になりがちな子供向けの本には向いていないと思い知らされた。


 問題は図鑑が30ミリ近い厚さで、全ページが硬いグラビア用紙であること。糸綴じ用の貫通穴を開けるには千枚通しやキリでは無理で、試行錯誤のすえ、最終的には電動ドリルを使うことになった。

 まず本体と表紙&見返しを切り離す。2度目にも関わらず、状態はそう悪くない。続けてページの外れた本体を整え、背から少し離れた位置を木製大型クリップで固定する。


 次に平綴じ用の穴を背から4ミリ内側に開ける。マニュアルに従って両端部からは15ミリ離し、50ミリ間隔〜計6個とした。
 ドリルビットには先端が三角形の革針を使用。直径1ミリほどの穴が開けられ、文庫本での事前テストでは問題なかったが、3個目の穴で折れてしまった。厚くて硬い紙には通用しなかった。
 念のため持参した1.5ミリの金属用ドリルビットに交換。想定より大きめの穴となったが、今度は問題なく開けられた。


 ふとん針にタコ糸を通し、端部から2つ目の穴から綴じ始める。返し縫いで綴じ終え、強く締めて固結びしたとたん、タコ糸がぷつり切れてしまった。木綿糸ならともかく、タコ糸が切れたことは過去にない。
 最初からやり直したが、やはり最後に結ぶ段階で切れてしまう。緩めてしばると切れないが、それでは平綴じに直す意味がない。
 本来なら製本用の麻糸(#30か#50)を使うべきだが、あいにく図書室には在庫がない。


 困り果てたあげく、タコ糸を1本どりではなく、2本どりで使うことを思いつく。細い穴では難しいが、幸いに穴は1.5ミリに広がっている。やってみると、今度は固く締めても切れずに収まった。端部をボンド固定して終了。
 最後に細く切った寒冷紗を背に貼り、この日の作業を終えた。表紙と見返しへの本体接着は次回持越しとなる。

 不測の事態連発で手こずったが、電動ドリルを使った力技ともいえる平綴じへの変更手法、どうにかやれそうな手応えを感じた。