2024年6月12日水曜日

記録で蘇る記憶

 中古で買った冷風扇の置き場確保に端を発し、古いLPレコードや父母の葬儀&相続関連資料、実家売却関連資料をまとめて整理したら、本棚に長く眠っている他の資料も片づけたくなった。
 青色個人事業の廃業届を税務署に提出してから丸4年が経過。事業に関連する多くの資料は揺り起こされる機会もなく、本棚に眠ったまま。事業再開の予定はなく、不要なものは処分するべき時期だった。

 手始めに、手描きでやっていた時期のカラー建築パースの記録写真を整理した。
 まだCGがない時代で、コピー機はモノクロしか持っていなかった。作成したカラー作品はただちに納品する必要があり、資料として保存するには写真を撮るしかない。
 本格的な照明設備がなく、撮影は自然光がほどよい南側ベランダの陰でやっていた。記録としての精度は落ちるが仕上がりはそれなりで、その後の参考資料としては充分に役立った。


 撮影年月は写真の裏に記載してあり、事業開始当初の1983年ごろから始まって、CGの登場でデータ保存が可能になった2000年ごろまで、数百枚の記録写真が専用フォルダに収まっていた。
 写真を取り出してA4サイズの用紙に並べると、1ページに4枚、裏表で計8枚貼れる。

 CGで描いた作品をプリントアウトして入れた別のフォルダがあり、営業用に厳選されていて美しく、捨てるに惜しい。空きページが13枚あって、ここに整理した写真を収めると100枚ほど貼れる。
 思い出として価値のある写真だけを残し、ジャンル別に整理して100枚に絞り込んだ。大半が捨てる作業だったが、整然と収まった写真はなかなかの壮観。長きに渡った独立自営の日々が懐かしく蘇ってくる。(こうやって頑張ってきたんだな…)と思う。
 思い出整理の一環として、16歳の夏にやり遂げた自転車旅行の記録を続けてまとめることにした。5泊6日の札幌から稚内への往復旅で、資金の都合でテントなしの単独野宿旅という無謀な計画。
 家族や見知らぬ人々の励ましや協力、そして運もあって旅は無事に成功。815kmに及ぶ6日間の旅は、その後の人生において大きなターニングポイントとなった。


 記録は「稚内ひとりたび」と題し、達成直後にアルバムにまとめてあったが、手書きの文字が乱雑で無駄なスクラップ記事などもあり、仕上がりはいまひとつ。いずれ作り直そうと思いつつ、時が流れた。
 どうまとめ直すかずっと考えていたが、20歳の自転車日本一周旅行に習って、まずPCのテキストファイルに変換。印刷して写真と共にスクラップ用紙に貼り、記録としての体裁を整えることにした。

 目下Googleドキュメントを使ってテキスト入力の真っ最中。こちらも58年前の記憶が昨日のように蘇り、作業はなかなか捗らない。
 写真を始めとする記録の意味は、過去の自分を揺り起こしていまの立ち位置を確かめ、新たな明日への意欲へとつなげることではないだろうか。
 そうなると「断捨離」と意気込み、なんでもかんでも捨ててしまうのは考えもの。最低限の記録を厳選してまとめ、いつでも取り出せる場所に並べておきたい。
 進行中の旅行記録はネット公開も検討中。実現すれば、このブログでも告知します。