2025年6月9日月曜日

初披露を連発

 10年以上も前に路上ライブ(札幌市公認のチカチカパフォーマンス)で知り合った同年代女性Sさんからの依頼で、Sさんが代表を務める健康寿命維持を意図した会で歌った。
 コロナ禍が沈静化しつつあった昨秋に初めて依頼され、今回が2度目。会場は過去に何度も歌っている市内の町内会館で、自宅からは20kmほど離れているが、冬以外は移動に支障はない。

 開始は前回と同じ10時で、演奏は90分を希望。声の出にくい午前中で、長時間のソロライブ。心身の衰えを自覚する身には厳しい条件だったが、長年お世話になっている方なので、万難を排して準備した。


 前回同様に8時50分に家を出る。途中で複数の道路工事に遭遇して遅れ、到着は9時45分。前回から会場が狭くなり、参加人数も13名とわかっていたため、PAは1台で臨んだ。
 設営は簡単に終わって、5分早い9時55分に開始。冒頭でSさんの挨拶などあって、実際に歌い始めたのは10時ちょうどだった。前半45分で11曲を歌う。
(1曲目以外は事前のリクエスト曲)(※は初披露)
「22才の別れ」「J(門倉有希)※」「恋の予感※」「アメイジング・グレイス」「時計台のある街(浅沼修)※」「恋のしずく」「あいたい(林部智史)※」「酒よ」「アカシアの雨がやむとき」「どうぞこのまま」「群青(谷村新司)※」


 前回と参加メンバーに変更はなく、その点ではやりやすかったが、問題は事前リクエストの内容。7曲中5曲がレパートリーになく、さらに「J」「時計台のある街」「あいたい」の3曲が聞き覚えのない曲だった。
 幸いだったのは要望がすべて1ヶ月近く前にあったこと。YouTubeを中心に情報をかき集め、連日の歌い込みでようやく人前で披露できるレベルに達した。

 事前のやり取りの中で、「女性の曲が少ないですね」「雨にちなんだ曲が欲しい」との話になる。
 全体的に別れや死をイメージした曲が多いという難しい面があり、相談のすえ、当初の7曲に加えて「恋のしずく」「アカシアの雨がやむとき」「どうぞこのまま」を要所に配置し、バランスをとった。
 こうした思惑はおおむねうまく運び、初披露連発の割には大きなミスもなく、無難に前半を終えた。
 休憩前の挨拶でSさんが感極まって言葉に詰まるというシーンもあり、場は終始水を打ったような静けさだったが、聴き手には届いていたと思う。


 前回は短い休憩後に後半を始めたが、今回は前半終了後に珈琲とケーキが振る舞われるという。珈琲程度なら問題ないが、ケーキを食べながらのライブ進行は難しいことが過去の例でわかっている。
 そこでSさんに事情を説明して休憩を15分に延ばし、11時から後半を始めることにした。その場でリクエストを募り、35分で8曲を歌う。

「マイ・ウェイ」「心もよう」「夢の途中」「ジェラシー(井上陽水)※」「for you…」「空港」「くちなしの花」「霧の摩周湖」
 事前に配ったリクエスト一覧にある曲とばかり思っていたら、「ジェラシー」の譜面が検索で見つからない。レパートリーにあることは確かで、他の予備ファイルを検索して、ようやく見つけた。
(リクエストの少ない曲は汎用リストから外してある)
 ラストの「霧の摩周湖」も全く同じ経緯で予備ファイルから譜面を取り出す。事前リクエストもそうだったが、なぜか後半の当日リクエストまでも、リストを無視した任意の要望になっていた。

 他に「アメリカ橋」のリクエストも出たが、こちらはレパートリーになくて対応不可能。前半の「時計台のある街」が半年前の同じ場で要望があり、応えられなかったもの。いずれ歌う機会があるだろうか。
 結果として数年ぶりに歌う曲や初披露曲が相次いだが、不思議に問題なく対応できた。特にラストの「霧の摩周湖」は出来がよく、終了後に「泣けました…」との声が複数届いた。


 この日は30度に迫る暑い日で冷房がまだなく、アルペジオ奏法の曲が汗で弾きづらくなるというトラブルが発生した。持参のタオルで指と弦を拭いつつ歌うことでやや改善したが、今後の課題だ。
 コルセットを装着したこともあって腰痛は発生せず、手首周辺の痛みもなかった。数週間前からの黒豆茶と、当日朝に飲んだ喉の漢方薬「響声破笛丸」が効いたか、喉は終始好調をキープ。

 終了後に休憩で食べられなかった六花亭のケーキをお土産にいただき、「次はクリスマス月間にお願いしますね」と、半年後の予約までもらった。
 リクエストの幅が広い長時間ライブは厳しいが、自らの達成感を拠り所に、なんとか継続したい。