《パック旅行》
新婚旅行も含め、旅行代理店プランに完全に依存したパック旅行は、夫婦とも初の体験だった。
事前の調査を充分にすれば、交通手段や宿泊地を選ぶ面倒がないのが最大の利点。個人では予約が難しい四つ星ホテルを確保できるのも、人によっては大きな魅力か?
(泊まる場所にこだわりがない者には、それほど意味はないが)
欠点として、あまり興味がない場所に否応なく連れて行かれたり、逆に行きたかった場所が訪問コースに含まれていない問題がある。
ただ、たいして関心がなかった場所が、行ってみると想像を超える魅力に満ちていた、などという嬉しい誤算もあり、一概に欠点とは言えない。ある意味、あなた任せのバクチ的な選択と言えよう。
下調査に時間はかかるが、現地までの移動手段と宿泊先だけを確保しておき、その後の移動はレンタカーでやる方法がある。
知らない道をナビ頼りで運転する気力体力が必須となり、事故リスクも増すが、行き先を勝手気ままに選べ、費用も安上がりかも?
《衣類と靴》
時期的に温度差が20度近い地域を移動したため、衣類の調整には悩まされた。妻はジャンパー&ジャケット類を3着も持参したが完全に持ちすぎで、一部は旅行鞄の中でまさに「お荷物」と化した。
私は着脱式のベスト型インナーがついた春秋物のジャンパー1着で通した。暑いときはインナーを外してベストとして利用し、うまくやり繰りできた。
靴は歩き回ることを想定し、2人とも履き慣れたウォーキングシューズにしたが、これは正解だった。
風雨に備え、私は帽子とストールを常用。妻は帽子を持参せず、ときに困っていたが、後半はフード付きのジャンパーで対応していた。
《カバン類》
大型の旅行鞄を所有せず、新たに買うべきか迷ったすえ、一度も使っていないキャスター付きの中型カバンを選択し、2人分の衣類や洗面道具を収納。空港での移動時にはキャスターが活躍してくれた。
妻が別の小さなリュック型カバンと、ハンドバック代りの小型ポーチを持参。計3つとなったが、妻のリュック型カバンが中途半端だった印象。もっと大きめのカバンにすべきだったか?
非常用に持参した薄いエコバックは、暑くて脱いだ衣類やパンフレット類、土産物入れなどに活用。旅程をプリントした紙やパンフレット類はA4の透明フォルダに入れ、このエコバックに収納した。小さくたためて利便性が高く、肩にかけられて両手が空くのがよい。
各地で買い込んだ土産物 |
《PCスマホ関連》
車での旅行には、いつもノートパソコンを持参する。3年前の8日間に及ぶ入院では、これにタブレットPCも加わり、ネットや電子本閲覧に不自由はなかった。
今回は航空機とバスによる移動で、重さが問題になる。熟慮のすえ、3年前には持ってなかったスマホのみを持参することに決めた。軽くて機能的にもPCと遜色ない。
普段はWiMAXによるWi-Fi接続で使っていて、旅行中Wi-Fiが自由に使えたのは宿泊したホテル内のみ。初日に今治の観光スポットでフリーWi-Fiに接続を試みたら、「通常とは異なるログインの試みをブロック」とGoogleから拒否メールが届き、接続は断念。
以降は必要な新聞や訪問先のGoogleマップを出発前にホテル内で読み込んでおき、Wi-Fi接続なしで表示させて、ほぼ事足りた。
倉敷での自由時間ではGoogleマップの詳細表示が必要となり、促されて一時的にモバイルデータ接続。帰宅後に使用量を調べたら計38Mに過ぎず、月に1Gまでの無料範囲である。結果としてネット関連はスマホのみで充分だった。
《記 録》
写真はすべてスマホ内蔵カメラで撮った。予備としてデジカメも持参したが、使うシーンはなかった。
2人のセルフ撮影に備え、組立式の自作自撮り棒も持参したが、スマホで撮ってくれる心優しき方が多数いて、こちらも使うことはなかった。
細かい旅程は免許証などを入れてある小型のシステム手帳を使って、その都度鉛筆で記録した。帰宅後にまとめたブログは、この記録とスマホ写真に残ったタイムスタンプ、そして日時と場所の記録がある土産物店や飲食店のレシート類を元に書いている。
「トラベラーズノート」という専用の旅記録帳もあると聞くが、いまのところ自分には必要なさそう。
《健康対策》
妻は膝、私は腰に問題を抱えていて、歩くことを強いられる旅行は大きな負担だった。対策として旅の出発時からそれぞれコルセットを装着し、冷湿布やバンテリンでの予防措置も毎日実施した。私が毎日課している各種ストレッチは、旅行中も欠かさなかった。
おかげで4日間で42,019歩(約30km)も歩いたにも関わらず、大きな障害なしで過ごせた。
毎日測っている血圧は旅行中はパス。妻は高血圧の薬を服用し、私は爪水虫の薬を塗布。洗面道具に入れてある常備薬のうち、初日にお腹の調子が悪くなって正露丸を2錠だけ飲んだ。
2人とも万一に備えて旅行保険をかけて臨んだが、旅行中の健康状態は、おおむね良好だった。
《お土産》
旅行計画はSNSを含めて一切告知していないが、旅行の緊急時連絡先は市内在住の長男に事前連絡して頼んだ。お土産は自分たちと長男一家の分だけで、1日目から目につくとこまめに買った。
大半が食べ物で、「愛媛の海老ちりめん&せとかグミ&ゆずもろみ」「瀬戸田レモンケーキ」「小豆島オリーブチョコクランチ&オリーブナッツチョコ」「小豆島オリーブ素麺」「鳴門わかめの佃煮&青葉わかめ」といったところ。どれも美味しく、旅を思い出しつつ、楽しみながら食べている。
このほか、倉敷物語館では私が妻に藍色の組紐で手作りした携帯ストラップを、小豆島オリーブ公園では妻が私に魔女宅ふうカエルの置物をそれぞれ買ってプレゼント交換し、金婚旅の記念とした。
夫婦が金婚式を迎える確率は、31%だという。この数値は1975年以降、ほぼ変わっていない。(Google AIによる情報)
実は私の両親もめでたく金婚式を迎え、子供たちで会費を集め、寿司店でささやかな記念の食事会をやった。35年ほど前のことで、当時は自分たちが金婚式を迎えるイメージを描くのは難しかった。
5年前に夫婦で古希を迎えた際、子供たちが会費を出し合って函館家族旅行に招待してくれ、孫娘も加わって得難い時間を過ごせた。金婚式が間近に迫り、もし無事に迎えられたら今度は子供に頼らずに、自分たちで計画して金婚旅行をやろうと決めていた。
3年前に人生2度目のガンに罹り、8日間の入院&手術。健康面で実施が危ぶまれたが、検診の徹底と日々の節制でどうにか現状を維持。無事にこの日を迎えることができた。
目を閉じると瀬戸内の穏やかな海や街並み、そして美味しい食べ物がいまも脳裏に広がる。50年前の新婚旅行の思い出と同じく、今回の旅も我が生命ある限り、長く心に留まって明日を生きる励ましとなるに違いない。