2024年6月16日日曜日

雨中の路上イベント

 通算11回目となる自由参加型の路上イベント「24市電前Live」の日だった。
 この日に備え、前回終了直後から構成や選曲を準備していたが、予定1週間前の天気予報があいにくの雨。期日が迫ると状況はますます悪くなり、開始時間ころに降り出して、雨量はじょじょに増すという最悪の予報となった。
 屋外イベントの宿命で雨天の場合は中止。小雨なら決行としても、開催の有無を告知するネット情報は存在せず、最終的には各自の判断に委ねられる取り決め。



 やる前提で準備はしてあったが、会場に行くかどうかは直前まで迷った。行ってみて中止ならやむなしと最終決断し、いまにも降り出しそうな空の下、10時25分に家を出た。

 前回は徒歩とバスで会場をめざしたが、今回は雨模様もあって、やや遠回りの地下鉄を利用。乗り換えせずに直近の駅で地下鉄を降り、そこから徒歩で会場へと向かう。この判断が甘かった。
 予想以上に時間がかかり、到着は11時35分。すでに締切を過ぎているが、会場は雨対策の設営中で、まだ準備が整っていない。


 実施をどうすのか代表のMさんに確かめたら、はっきりしないので、とりあえずエントリー表に名前を書くよう促された。
 ビニール袋入りのエントリー表には8組の名前が。私が記入したあとにやってくる方もいて、開演15分前には10組を超す参加者が集まった。

 通常ならここでMさんから演奏順の発表があるが、今回は「自己申告で演りたい人が演る」という降雨特別ルールで始めることに決定。いつ降り出してもおかしくない状況で、定刻より5分早めて12時5分前にイベントは始まった。


 誰がいつ演ずるのかわからない不確定要素のなか、結果的に10組がパフォーマンスを披露。音楽系が9組(インスト系4組、ボーカル系5組)で大道芸系が1組。男女比は7:3だった。

 以下は演奏の概要。(注釈なしは男性)
1)サキソフォーン独奏(BGM付):演歌(代表Mさん)
2)ギター弾き語りソロ:加山雄三、オリジナル
3)アコーディオン独奏:テネシーワルツ他
4)ギター弾き語りソロ:フォーク系、松山千春
5)アコーディオン独奏:シャンソン、懐メロ
6)書道パフォーマンス(尺八BGM):Amazing Grace(女性&男性)
7)菊地トムノ:ギター弾き語り
 「黄昏のビギン」(懐メロ)
 「雨ニモマケズ(オリジナル作曲)
 「傘がない(フォーク)
8)アコーディオン独奏:洋楽、演歌(女性)
9)ギター弾き語りソロ(BGM付):オリジナル
10)独唱(BGM付):J-POP、演歌(女性)


 雨が時折落ちてくる空の下、各自が入れ替え時間や演奏時間を短縮しつつ、次々とパフォーマンスを披露。結果としてインスト系とボーカル系等がバラけ、ほどよいバランスとなった。
 初参加は3組。先月のライブで新聞取材があり、参加者急増が予想されたが、具体的な告知がなかったことと雨模様のせいで、参加者は前回より3組減った。はっきりしないが、エントリーしたまま参加しなかった方も数組いたようだ。

 雨に追われるように、各自が競うように演ずる。やや気圧されていた私だったが、半分以上が出演を終えた7番目に、ようやく歌うことができた。


 今回は「雨」をテーマに演ろうと早くから決めていて、曲の強弱や「起」「転」「結」のバランスを考慮して3曲を選択。まさか本当に雨中で「雨」を歌うことになるとは思わず、結果的にこの構成は場の気分にピタリはまっていた。
 直前の書道パフォーマンスの撤収作業で場が落ち着かず、始めようとしたとたん雨足が強まるという不運も重なる。Mさんから「演りますか?」と確認されたが、いま始めないとこのまま中止になりそうで、「演ります」と即答した。
 この日は雨中のライブを覚悟し、電子譜面は断念してA5の用紙に印刷した譜面をビニール袋に入れて持参。磁石つきの目玉クリップで袋ごとはさみ、会場の譜面台にくっつけた。
 譜面は演奏順にテープで止めて折りたたみ、入れ替えをスムーズにする。シールドケーブルは会場の設備を利用し、時間短縮と機材軽量化に努めた。

まだ降っていない開演前に撮影

 13時から歌い始めると雨粒が大きくなり、見かねて知人のアコーディオン演奏Nさんが、うしろから傘を差し掛けてくれて助かった。

 喉の調子はまずまずだったが、前回に比べるとロングトーンがいまひとつの感じ。雨のせいで集中力に欠けた面もあったように思える。やや小降りになった3曲目の「傘がない」には、少ないながら場の強い手応えを感じた。
 無用なMCを極力省いて時間を詰め、正味9分ほどで終了。


 雨のせいでオーディエンスは少なく、常時15〜20名。出演者を除けば一般市民は数名といったところ。貴重な聴き手も、雨が強まるとふっと消えてしまう寂しさだった。

 その後もトントン進んで、ラストの女性プロ歌手の場面で、雨がいよいよ本降りになった。差し出された傘も断って気丈に歌い切り、定刻より1時間10分も早い13時50分にイベントを終える。
 開始前は実施困難かと思われたが、雨脚が強い時間は互いに傘を差し出してフォローしあうなどし、ともかくも予定のパフォーマンスを無事に消化した。
 雨中のライブ経験は皆無ではないが、ステージ上に屋根があるケースが大半。条件的には厳しかったが、得難い経験をさせてもらった。