2023年11月6日月曜日

技術は不意に活きる

 今年度13度目の地区図書館、本修繕ボランティアに参加。いまのところ、かろうじて皆勤をキープしている。
 参加者は半分ほどで、普段より少なめ。あくまで自由参加なので、悪天候の影響かもしれない。

 10月に月曜が5度あって間隔が空いたせいか、修繕対象の本は棚にあふれている。最初に前回から持ち越した絵本の修理をやる。
 糸でとじ直し、背に寒冷紗をビニダインで貼った本文は乾いて固まっている。表紙と見返しの状態はまずまずで、係員と相談の結果、本文を単純にビニダインで接着することに決まる。
 接着剤の塗布は前回試みて成功した金属製スクレイパーを使用。作業はスムーズで、ズレ止めとして本文の端部にはダブルクリップを、背の部分は目玉クリップで固定した。乾燥後のクリップ外しは係員の担当。

スクレイパー先端で接着剤を塗る

 その後ページ外れを接着剤で固定したり、ページ破れを透明カバーで修復するなど、絵本を中心に計5冊の本を補修した。

 最後にやったのは、過去にあまり例のない修復。透明カバーをかけた新刊本の表紙中央が大きな引っかき傷でめくれている。どんな扱いでこのような傷がつくのか?
 透明カバーの全面交換は避け、対象部分だけを切って取り外し、同寸法の新しい透明カバーを正確に切り抜いて貼り戻す、という修復法を係員に提案した。

 以前に仕事でやっていたエアブラシ描法で似たテクニック(マスキング)を常用していて、同じ手法を応用してみたら、修復跡がわからないほどきれいに収まった。
 しばしば使っているタコ糸を使った糸とじ修復など、本の修繕とは直接関係のない技術が、いろいろなシーンで思いがけず活きる。