2022年9月30日金曜日

胃ガン内視鏡手術

入院2日目手術当日
 昨夜は消灯後も同室患者の処置作業で落ち着かず、普段は深夜1時過ぎまで起きていることもあって、なかなか眠りにつけなかった。
 10時半ころにいったん起き、タブレットPCで小説を読む。

 前回入院時にSDカードのエラーで電子本が読めなかった失敗にこりて、今回は入念に動作チェックのうえ、24冊分の電子本を持参した。すべて青空文庫の無料版で、著作権切れの古い本だが、充分楽しめる。
 昨日は「赤ひげ診療譚〜狂女の話(山本周五郎)」「D坂の殺人事件(江戸川乱歩)」の2冊を読んだ。照明なしで読めるから消灯後でも問題なく、入院むきだ。


 23時過ぎにようやく眠りに落ちたとたん、ナースセンターからの物音で目覚めた。インタホンに似たアラーム音が断続的に響き、イヤホンで耳栓をしても眠れない。時計は深夜2時半。
 トイレをかねて起きたら、入口の引戸が開いたまま。これでは音が筒抜けだ。隣室を見るとぴったり閉じている。通りかかった夜勤の看護師さんに、就寝中は閉めてもよいことを確認した。
 その後は眠れたが、4時にまたアラーム音で目覚める。誰かが引戸を開けたらしく、再び起きて閉めに行く。

 次に起きたのが、起床時間6時をはるかに過ぎた7時少し前。洗面を終えたら看護師さんが現れ、体温&血圧の測定。体温36.7度で、37.1度だった昨夜より下がった。血圧も110/67と低め。


 7時半ころに点滴液をセットされる。手術日なので水も食事も一切不可。24時間、計2Lの栄養剤点滴だけが頼りだ。

 タブレットPCで「赤ひげ診療譚〜駈込み訴え(山本周五郎)」を読んだり、麻雀ゲームをして時間をつぶすうち、15時20分に内視鏡手術の迎えがやってきた。
 はおっていたカーディガンを脱ぎ、腕時計とメガネを外し、貴重品入れの鍵は看護師さんに託して、ただちに検査室(手術室)へと向かう。


 控室で20分ほど準備をし、15時45分に手術室へ案内された。部屋は10人近いスタッフであふれていて、普段の内視鏡検査の倍以上。麻酔系のスタッフのほか、症例の少ないESD手術(患部を中心に胃壁を丸くはがす)ということで、見学者がいたのかもしれない。

 酸素吸入管を鼻にセットされ、15時50分に鎮静剤を打たれたが、目覚めたのは病室のベットで、4時間近く過ぎた19時30分過ぎ。この間の記憶が全くなく、「鎮静剤施術(静脈麻酔)は手術中もぼんやりと意識がある」という事前情報とは大きく異る。まるで死の淵から蘇ったような、奇妙な感覚だった。
 内視鏡手術とはいえ、少ない確率でリスクがあることに変わりはなかったが、ひとまず生きているようだ。


 痛みは全くなく、不安だった穿孔や出血はなかったらしい。緊張して臨んだ割には拍子抜けの結果。
 あとで看護師さんに確かめたら、病室戻りは16時40分ころとのこと。正味40分ほどで手術は終わったことになる。

 鎮静剤はまだ残っていて、頭がボ〜としている。1時間ほど休んでから、9年ぶりの独り留守番で手術立ち会いも叶わず、何かと不安に苛まれているだろう妻に、手術無事終了をメールで報告。
 その後、消灯と同時に再び眠りにつく。長い一日が、ともかくも終わった。