2021年3月4日木曜日

長くて深い関わり

 昨秋に地元紙で採用になったエッセイの担当者から突然電話があった。「水に浮かぶ家」と題した当時の投稿に関することかと思いきや、実は別の投稿を掲載したいとの連絡。
 昨秋と同じ、生まれ故郷の田舎町と父に関する内容だったが、投稿したのは2ヶ月近くも前のこと。てっきりボツと思い、次の作を準備中だったので、正直驚いた。

 同じエッセイ欄に昨年は2度採用になっていて、今回が3度目。かなり前に自分の弾き語り活動に関する話を投稿したが、あえなくボツ。気を取り直して父にまつわる話を書いてみたら思いがけずあたって、ハズレなしの採用が続いている。
 掲載は日曜に2作限定で、毎日4〜5作が掲載される投稿欄に比べ、ハードルは高い。今回は真冬から雪解けに関する記述が含まれていて、時期的には幅が広かった。
「採用は早くから決まってましたが、投稿数が大変多くてギリギリまでずれこみました」と、申し訳なさそうに担当者は言う。

しばしば創作の舞台となる故郷の雨竜川

 実はいま、父に関わる長い創作小説を書いている。20年近く前に書き始めて頓挫した作品だったが、社会参加としてのギター弾き語り活動がコロナ禍で止まってしまい、ぽっかり空いた時間を有効に活かすべく、再開する気持ちになった。
 昭和30年代の札幌を舞台にしていて、ここにもやはり父が自分と対峙する形で登場する。すでに進行中のエッセイ投稿と世界観は似ている。
 21年前にサッカーを通して自分と息子との関わりを書いたノンフィクション小説が企画出版された際、編集者から「次回作は、あなたが自分の父親について書くべきです」と勧められた。
 当時はまだ父母が健在で書きにくい部分もあり、そのまま月日が流れたが、すでに母も送って一年、ためらう理由はなくなった。自分と父との長くて深い関わり、いまこそ書くべき時期だろう。