アプローチから雁木状に透明屋根のかかった通路を進むと、ドアの右側に家の形をした大きなポストがある。もちろん手製だが、屋根の形状や色、壁の模様に至るまで、すべて本体である家を模した。
壁の部分にある表札のところが蝶番で内側に開くようになっていて、新聞や郵便物はそこから中に入れる。屋根の部分はこれまた蝶番で上に開くようになっていて、ここから中身を取り出す仕組みだ。
A4版の郵便物と新聞が、そのまま横にすっぽり入る大きさで、表札部分には屋号と家族の名が入っている。パソコンのプリンタで印刷し、透明のフィルムをかぶせただけだが、内側に引っ込んでいるせいか、7年経っても傷みはない。
このポストは、富良野にあるジャム園に行ったとき、公衆電話ボックスが同様に家そのものを模したデザインになっているのにヒントを得た。
我が家を訪問するお客様にも大変評判がよく、本格設計依頼をされた方に手作りし、新築祝としてプレゼントしたこともある。ごく最近では、依頼者が我が家の物を参考に自ら作られた例もあるが、とてもよく出来ていて驚いた。
屋根の部分には本物の鉄板をかぶせ、木の部分の塗装補修も怠りないので、もしかしたら家本体と同じくらいもつかもしれない。