2006年8月25日金曜日

招く猫

 独立直後に招き猫の貯金箱を買った。自由業とはいえ、いちおうは商売であるので、縁起をかついだわけである。20数年を経たいまも壊れず、仕事部屋の中央に鎮座している。

 招き猫には、左手が上がったものと右手が上がったものの二種類ある。前者は金を呼び、後者は人を呼ぶという。店頭で妻と少し迷った。商売人なら本来、金を呼ぶという左手型を選ぶのだろう。
 結局、「ウチは人がくればいいんじゃない?」という妻の一声で、右手型に落着いた。


 ところが、その後よく調べてみると、「右手は金、左手は人」だそうで、全く逆だと分かった。しかし、現実の感触として、この家によく集まってくるのは金ではなく、明らかに人である。
 望まなかったのだからきっとそれでいいのだ。それでもときどきは磨いたり、中に五円(ご縁)玉を入れたりし、ネコパワーが損なわれないよう面倒をみている。