コラムのタイトルは「風街だより」。この話の打診があったとき、咄嗟に閃いたもので、編集長やスタッフの方と面談した折に提案したところ、その場で採用となった。
8年前に出版された本のタイトルも、似たような経緯で即決したものだった。この種の話は直感やイメージが大切で、よいタイトルが思い浮かべば、不思議なことに文章はそれに沿った形で流れ出てくることが私の場合は多い。
スルドイ方はお気づきかもしれないが、このタイトルは大岡昇平の「成城だより」をちょっと意識している。30年程前に文芸誌の「文学界」に連載されたエッセイで、当時定期購読していたので、最初からずっと読んだ。
内容は文学ばかりでなく、日々の雑感やテレビで見たアイドルタレントの印象など、実に多彩で巧みな筆致だった。
いつかあのようなエッセイを書いてみたいとずっと思っていて、このブログやメインサイトに掲載の「徒然雑記」も、かなりその「成城だより」を意識して書いている。
「成城」は大岡昇平の住んでいた街の名で、今回の「風街」も私の住む風の強い地域をイメージしている。「風の街から定期的に届けられる日々の便り」だから、「風街だより」なのだ。
急ぎの仕事を昨夜納品し終え、父の遺族年金変更手続きにようやくとりかかった。この書類がかなり煩雑で、確定申告なみの難しさ。サンプルを見ながら作業したが、3時間近くもかかってしまった。
午後2時近くに、勤めから戻った妻と入れ替わるように、風雨のなかを出発。まず実家に寄り、長崎のいちろうさんから届けられたカステラを父の霊前に供える。その後年金の書き換えに必要な書類を実家から持ち出し、区役所に行く。悪天候のせいか区役所は空いていた。
戸籍謄本、住民票、除籍謄本、印鑑証明など、雑多な書類を整える。その足で別の場所にある社会保険事務所にゆき、最終手続きをした。
30分ほど待たされたが、書類に大きな間違いはなく、手続きは順調に進んだ。ただ、戸籍謄本が銀行の相続用のものではダメで、再度取寄せとなる。戸籍謄本にもいろいろ種類があることを初めて知った。
他の書類にはすべて確認印をもらったので、あとは戸籍謄本を追加し、受付にある書類ポストに入れるだけでよいとのこと。手続きの大きなヤマは越えた。