社会福祉協議会のサイトから情報を得た介護施設で歌った。今年はこれが3度目のライブ。6月に地区センターロビーコンサートで、10月には区内市民広場の自由参加路上系ライブで歌った。
新型コロナ感染に対する不安が消えないなか、それなりに場を重ねてきたが、介護施設で歌うのは実に1年3ヶ月ぶりのこと。先方から依頼されたわけではなく、音楽ボランティアの募集に応募して実現した場である。かなりの緊張感をもって臨んだ。
具体的なスケジュールが決まったのは12月上旬。施設は自宅から車で5分と近い。事前の調査はすでに済ませてあり、50〜100歳の通所利用者が対象だった。
聴き手の年齢層が広く、選曲には悩んだ。XmasライブということでXmasソングを冒頭で2曲歌い、以降は季節感を考慮しつつ、オーソドックスな構成でやることにした。初めて歌う場なので冒険は避け、どんな傾向の曲が受けるのが、見極めたかった。
ライブ開始は13時30分。13時5分に先方に着き、食堂ホールの一隅にあるテレビの前に機材をセットする。
コロナ禍以降の弾き語り活動再開に備え、電子譜面表示用のタブレットやエフェクター、そして譜面隠しなど、各種機材を更新した。それらを初めて試す場でもあった。
予定ぴったりの13時30分にライブ開始。当初の打ち合わせ通り、40分で13曲を歌った。「ジングルベル」「きよしこの夜」「上を向いて歩こう」「二輪草」「お座敷小唄」「バラが咲いた」「幸せなら手をたたこう」「いつでも夢を」「時計台の鐘」「つぐない」「星影のワルツ」「まつり」「リンゴの唄」
聴き手はおよそ30名ほど。リハビリが主目的の施設なので、介護度は低い。介護施設には珍しく、男性の比重が半分近くと高い。
事前の相談で、歌唱中はマスクを外すことになった。利用者にもマスクなしの姿が多い。マイクからの距離が近い席が一部あったが、施設側からの要望は特になく、そのまま歌い始めた。
特に声がけはしなかったが、1曲目から調子良く手拍子が飛び出す。一転して静かな2曲目になっても、反応は悪くない。歌い終わって「メリークリスマス」と声をかけると、期せずして歓声があがった。
通常モードとなった3曲目以降も終始手拍子が入り、「幸せなら手をたたこう」でピークに。3日前から黒豆煮汁で調整した喉の調子もよく、歌い手としてはやりやすい展開だった。 潮目の変化を感じたのは8曲目の「いつでも夢を」から。場によっては受ける曲だが、ここでは反応が弱かった。手堅い「高校三年生」を歌うべきだったかもしれない。
開始後30分弱が経過し、聴き手に疲れも見え始める時間帯で、長めのMCを入れるなど、工夫の余地はあった。
「つぐない」以降は演歌を連発したが、やはり期待したほどの手応えはない。途中に挟む予定でいたシャンソンの「サン・トワ・マミー」は場の気分にそぐわないと判断。時間の都合もあってカットした。
「あと2曲で終わりです」と宣言した「まつり」から少し盛り返し、予定ぴったりの40分でライブを終えた。
演奏中もリハビリのために席を立つ方がいたりし、位置づけとしてはライブというより、自由参加型の音楽イベントである。
弾き語り系のボランティアは過去にほとんどないらしく、職員も利用者もライブそのものに慣れていない印象はした。
終了後に職員や利用者から複数の声をかけていただき、「2ヶ月後くらいにまたぜひ」とのありがたい依頼もあったが、どのような場でも続けざまだと飽きられるのが常。季節感や曲の重複などを考慮すると、同じ場で歌うのは年に3〜4回が限度と思われる。
事情を話し、「雪解けの時期にでも、またお声をかけてください」とお願いしておいた。場のおよその傾向はつかんだので、次回は途中でリクエストを募るなど、聴き手を誘導する手段も考えたい。