生ゴミは各家庭でバケツなどにためておき、定期巡回してくる養豚農家の馬車に引き取ってもらっていた。荷台が箱状になっていて、内側にトタン板が打ちつけてあり、液状になった生ゴミでも、もれにくい構造になっていた。
しかし、臭いはひどかった。さんざ世話になっておきながら、その馬車が通りかかると、「ブタ屋がきた!」と鼻をつまんで逃げ回っていたものだ。
紙クズなどの燃えるゴミは、ある程度たまると穴を開けた18Lの灯油缶で焼いていた。それはほとんど私の仕事で、当時すでにビニール袋が出回り始めていて、ゴミに混じったビニールが焼ける独特の異臭に、これまた悩まされていた。
この「焼却炉方式」は学校などでも盛んに行われていて、かなり長い間ゴミ処理の主役だった気がする。
いまでいう「不燃ゴミ」は、その概念そのものがまだなかった。モノがいまほど溢れている時代ではなく、耐久消費財は修理してトコトン使い続けるリサイクルの時代だったからだろう。
「失われた時代」では決してなく、我々がもう一度振り返って見直すべき時代だ。
さて、40数年前に市の収集に変わったゴミ処理だったが、当初はすべて有料だった。二重になったクラフト紙製のセメント袋を市の出張所などで買い、そこに入れて決められた場所に出す方式で、現在とそう大きな違いはない。
調べてみたら、セメント袋は25Kg入りで容量はおよそ16L。当時の価格は1枚20円くらいだったと思う。
その有料だったゴミ収集が、いつの間にか無料になった。それがいつだったのか、全く記憶にない。私は19歳で札幌を出たので、おそらくそれ以降のことだろう。
無料になった理由はよく分からない。当時は市の財政にも余裕があったということか。
札幌市の試案によれば、今回の有料化では1Lあたり2円相当になるらしい。セメント袋換算だと32円。物価上昇を考えると、ほぼ当初の費用に戻ったことになる。
さすがに今回はセメント袋ではなく、ビニール袋になるようだ。売る場所はコンビニという話。
世間ではスーパーのレジ袋を有料化する話題で騒がしく、ゴミ袋の代用として重宝するレジ袋がほとんど姿を消した我が家でも、最近は写真のような小さめのゴミ専用袋を買っている。
30L用の写真の品は、20枚で108円。1枚わずか5円強で、使うのはせいぜい月に8枚程度。この価格ならレジ袋が有料化されても、それほど家計には響かない。
ところが同等の札幌市指定品を買うとなると、これが1枚60円にハネ上がる。(10Lで20円が試案)希望としては20L以下の袋も作って欲しいが、いずれにしてもかなりの負担増になるのは確実。
対策は限られているが、これまで毎回出していたゴミを、半分くらいのペースにおとそうかと画策中。つまり、高価なゴミ袋を目一杯パンパンにして出そうというコンタンなのだ。
それでも週100円くらいは持ち出しになりそうだ。週10円で済んでいる現状のざっと10倍。食料や原油高騰の折、全く頭が痛い。