2008年6月16日月曜日

デザインの真髄

 自宅南側の軒下に挿し木で植えたツタが、いつの間にかずんずん成長し、一部が玄関脇のスリット壁をすり抜けて、玄関ドア枠の上まで侵入してきた。
 ドアを開けるたび、ツルと葉が揺れながらふわふわと室内をうかがうようにする。それがまるで生きているようで、(確かにツタは生きてはいるが)なかなか愛らしい。


 玄関前は積雪対策として、車がすっぽり入る「雁木」のような構造にしてある。人間が歩くアプローチ部も共に屋根で覆われているので、雨や雪対策には案配がよろしい。
 南側と東側は完全開放してあるので閉塞感はないが、奥が暗くなるのを避けるため、一部を透明ポリカーボネート波板にし、そこから光を下に落としている。
 雁木の本体はツーバィ材を使い、すべて自力で施工した。柱と梁の立ち上げに一部家族の力を借りたが、大半は私独りでやった。50代前半のまだ体力があった頃の話で、いまなら果たしてやれるだろうか。
 ポリカーボネート波板はホームセンターで買った市販品だが、積雪1メートルを越えてもびくともしない。(受枠は約60センチ四方)
 ツタの様子を外側から見ると、下の写真のようになる。


 ワインブラックのガルファン鋼鈑大波縦張と、シーダー色塗装の木材、そしてツタのグリーンとのコントラストが絶妙。ツルの曲がり具合もいい感じだ。
 たかが玄関だが、思わぬツタの効果で立派にデザインし、立派に自己主張している。色や明度、そして質感がほどよくバラけているのが、おそらく優れたデザインの真髄。
「白オンリーの色統一」「何でも木材」など、ひとつの色や素材だけにこだわるデザインワークは一見よさそうに見えるが、ただ楽をしているだけのようにも思える。何事も「Too much(過多)」はイケマセン。