2024年7月21日日曜日

酷暑の路上イベント

 通算12回目となる自由参加型の路上イベント「24市電前Live」の開催日。私は都合4度目の参加となる。
 前回は雨をついての強行開催だったが、今回も当日の予報は雨。2度続けての雨はさすがに堪え、その場合は不参加と決めていたら、前日になって予報が微妙に変わり、終了後の15時に小雨が降る程度という。
 このところ真夏日が続いていて、仮に降ってもいい熱冷ましだと腹をくくった。

 当日は午前中から30度を突破。暑さと雨の両方を頭に入れる必要があり、一部に車を使うより出発は早まるが、すべて公共交通機関を利用して向かうことにした。
 徒歩は自宅から最寄りバス停までの10分のみ。10時15分に家を出て日陰を選んで歩き、バスに乗るとエアコンが効いて涼しい。地下鉄に乗り換えても涼しさは変わらず、ルート変更は正解だった。


 11時15分に会場到着。締切15分前だが、すでに12組がエントリー済み。この日は女性ボーカルのユキさんのギター伴奏も務めることになっていて、2人同時に受付けを済ませる。懸念していた自分の弾き語りと他の伴奏とのWエントリーは、過去にも例があって問題なしとのこと。

 その後もエントリーが続き、最終的に19組という過去最高の参加数となった。制限の3時間に収めることが難しく、前回同様に開始を15分早めて12時45分からスタートとなる。入替えを含め、1組10分の持ち時間を厳守するよう代表のMさんから再確認がある。
 私の弾き語りは11番目で、ユキさんの伴奏は15番目。陽射しはそう強くないが気温は高く、水分補給しつつ持参のサンドイッチを食べる。
 あとで知ったが、この日の札幌は猛暑日寸前の34.7度(今季最高)を記録していた。


 記録的な暑さにもめげず、19組が次々とパフォーマンスを披露。音楽系が18組(インスト系6組、ボーカル系12組)で大道芸系が1組。初参加は9組、男女比は12:7(人数は23:16)だった。
 以下は演奏の概要。(注釈なしは男性)
1)サキソフォン独奏(BGM付):テレサテン
2)ギター弾き語りソロ:ビーズ
3)ピアノ&ウッドベース合奏:少年時代他(女性2人)
4)書道パフォーマンス(尺八BGM):(女性&男性2人)
5)ギター弾き語りソロ:オリジナル
6)オカリナユニット(BGM付):昭和歌謡(女性2人)
7)エレキギター弾き語りソロ:オリジナル
8)ギター弾き語りユニット:J-POP(女性2人)
9)ギター弾き語りソロ:フォーク系
10)ギター弾き語りソロ:J-POP、オリジナル

11)菊地トムノ:ギター弾き語り
 「不思議なピーチパイ」(J-POP)
 「野ばら(シューベルト)(クラシック)
 「どうにもとまらない(昭和歌謡)
12)アコーディオン&リコーダー&オカリナ合奏:
  シャンソン、演歌、唱歌(男性2人&女性4人)
13)ギター弾き語りソロ:フォーク、オリジナル
14)ギター弾き語りソロ:J-POP、オリジナル
15)ボカロソロ(BGM使用):J-POP(女性)
16)ギター弾き語りソロ(BGM付):オリジナル
17)オランジェットゆき:独唱(女性&男性)
 「スタンドバイミー」(洋楽・アカペラ)
 「勝手にしやがれ」(昭和歌謡・ギター伴奏〜菊地)
 「学園天国(昭和歌謡・ギター伴奏〜菊地)
18)トロンボーン合奏:J-POP他(男性5人&女性3人)
19)エレキギター&カホン:ベンチャーズ(3人)


 各自が時間短縮に努め、トントンと調子よくプログラムは進んだ。私の出番は13時半あたり。開始105分が経過して10組が終了。ほぼ予定通りの進行だった。
 開始前のユキさんとの音合わせの際、強い陽射しの反射で電子譜面が見づらく、予備として持参した紙譜面を磁石つきクリップで使うことにする。

 この日の隠れテーマは「春から夏へのバラ」。歌詞にすべて「バラ」が入っていて、受けのいい曲を季節順に並べた。テンポや曲調にもメリハリをつけた苦心の構成。
 ただ、時間短縮の関係でテーマに関するMCは一切入れず、単にタイトルを紹介するにとどめた。


 暑さはピークに達していたが、場の反応はまずまず。開始時は20名くらいだった聴き手は、ライブの経過と共に増えて40名前後。聴き手の反応に限れば、雨より暑さのほうがはるかにマシである。
 春先から始まった原因不明の左手首痛は小康状態だったが、コードによっては痛むため、サポーターを巻いて臨んだ。結果として痛みは皆無。今後はライブ時の手首サポーターをデフォルトにすべきかも。

 反省点は、3曲目のラスト近くでピックが割れ、弦にからまって一瞬抜けなくなったこと。抜けるまで無伴奏でつないだが、失態だった。
 演奏中に割れることは過去にあっても、持ち替えることで凌いでいた。弦から抜けなくなったのは初めてで、何が起きるかわからないライブの怖さを思い知った。予備ピックは常に準備しておくべき。


 持ち時間内の9分で歌い終わり、素早く撤収。その後の進行も順調だったが、私が伴奏を務め、15番目に歌う予定だったユキさんの出番が迫っても、本人が現れない。
 会場近くにある職場を抜け出して参加する綱渡りで、14時半ころを希望していたが、進行が想定よりも早すぎた。事務局に事情を話し、順序を後ろにずらしてもらう。
 ユキさんは2つ遅れの17番目(14時40分)の登場となり、同時に私もスタンバイする。
 ユキさんとは介護施設ライブで10数年前に知り合った。先月の「24市電前Live」で突然声をかけられ、7年ぶりの再会。以前はギター伴奏の男性とユニットを組んでいたが、解散してアカペラでの活動をしているという。
「私もここで歌いたい」という話しの流れで、1回限定で伴奏を務めることになった。多忙で直接音合わせをする時間がなく、ネット経由で音源をやり取りしながら進めた。


 ぶっつけ本番に近く、多少の不安はあった。いざ始めると、1曲目「勝手にしやがれ」のイントロを弾き終え、目で合図を送っても、一向に歌い始めない。受付け直後の音合わせでは問題なかったが、目に緊張が走っている。新型コロナがらみで、ライブの場から遠ざかっているという事情があった。
「もう1回」と声をかけてやり直す。今度はうまくいった。ところがサビのリフレインは原曲通り、間奏なしで続けることを確認していたはずが、これまた歌が続かない。
 小声で「終わりますか?」と尋ねると、歌う気はあるようだ。適当な場所で伴奏を切り、目でうながすと、やっと歌ってくれた。時間短縮の意味では好ましくなかったが、まずまず無難にまとめた。

 2曲目「学園天国」は歌詞に合いの手が入って、さらに難易度は上がる。不安なまま始めたが、伴奏のタイミングをボーカルにある程度合わせたこともあり、これといった問題もなく終了。
 場にようやく馴染んできたユキさんが聴き手に掛け声の交歓を仕掛け、場もこれに応じて、大盛りあがりで終了となった。


 実は「学園天国」はレパートリーにはなく、この日に備えて毎日練習を重ねた。F#やBの難解な(自分には)セーハコードの連発で、そもそも他のボーカルの伴奏をすること自体が初めてのこと。
 緊張を強いられたが、ギターストロークのテンポを一様ではなく、歌詞に合わせて逐次細かく変える工夫をこらし、選曲が場にマッチしていたこともあって、予想以上にうまく運んだ。

 終了後に「よかったよ」と、見知らぬ方を含めて多くの声をかけられ、練習したかいがあった。ギターは下手だと日頃から決めつけていたが、毛嫌いせずにやってみるもの。


 その後見事なトロンボーン合奏と夏の定番、ベンチャーズ演奏が続き、予定をやや超えた15時20分で大団円となる。
 閉会を告げる代表Mさんの声が、感動で心なしか上ずって聞こえた。折畳み傘も準備していたが、雨が降り出す気配は最後までなかった。

 地下駅からバスへの乗り継ぎがうまくいかず、帰宅は17時近く。30度近くの暑さはまだ続いていた。
 前回は雨との闘いで、今回は暑さとの闘い。どちらも厳しいが、熱中症を回避して無事に乗り切れたこと、新しい自分を見つけられたことを喜びたい。