場所は車で20分弱のところにある「石狩マクンベツ湿原」。いつもは4月末が見ごろだが、今年は春の訪れが急。あらかじめネットで開花状況を検索し、いまが見ごろという情報を得ていた。
週末ではないので、人影はまばら。駐車場も難なく停められた。
空は快晴で、湿原のネコ柳も芽を吹き始めている。茅の枯れ葉で埋め尽くされた湿原には、ミズバショウがいまを盛りと咲き誇っていた。
行き交う人には、私たちのような中年夫婦が多い。しばし歩くと、去年できたばかりという木道があった。事前に調べたネット情報にもあったが、湿原の真ん中を貫くように遊歩道が完成している。ここにくるのは2年ぶりなので、歩くのは今日が初めてだ。
さっそく入ってみたが、これまで遠くから群落を眺めるだけだったミズバショウをごく間近で見ることができ、大変具合がよろしい。
木道にはさすがに人で溢れていたが、随所に広い「すれ違いスペース」が確保されているので、歩くのに支障はない。
ただ、「木道」といっても実際には木材ではなく、樹脂製のマガイモノが使われていた。コストや管理面を考えるとやむを得ないかもしれないが、やや興ざめ。
20年ほど前に行った雨竜沼湿原には、見事な本格木製の木道が敷設されていた。いまでも変わっていないだろうか。
木道の途中は木々が一部途切れ、茫漠とした枯れ野原が広がり、そこにはミズバショウは全く咲いていない。ちょっとした異次元空間なのだが、この獏とした感じがなかなかよろしい。
500mほど続く木道の行き止まりは石狩川の蛇行で生まれた三日月湖。さざ波の打ち寄せる広い水辺のはるか向こうには、雪が残った暑寒別岳の山並がかすんで見える。この眺めもまたよし。
木道は迂回していないので、来た道をまっすぐに戻らねばならない。帰り道、群落の中に一株だけ赤いミズバショウを見つけた。
これは新種か突然変異のミズバショウに違いないとカメラにおさめ、帰ってから調べてみたら、どうやら「ザゼンソウ」というミズバショウの仲間らしい。な~んだ。
でも、初めてみた珍種に違いはない。何だか得した気分。
出口の新しい看板に、英語で「skunk cabbage(スカンク・キャベツ)」という記述あり。もしかしてミズバショウって臭いの?と思ったが、そんな覚えはない。これまた帰ってネットで調べてみたら、臭いのは一株だけあったザゼンソウのほうらしい。
ちなみに、英語で「skunk cabbage」はザゼンソウのことで、本来の白いミズバショウは、「asian skunk cabbage」なんですと。知らなくてもいいウンチクですが。
歩き疲れた帰路、途中にあるロイズコーヒー石狩工場の売店に寄って冷たいコーヒーを飲み、洋梨パイを二つ買った。
家に戻ってからおいしく食べたら、何だか疲れがでて、しばしのうたた寝。たまにはノンビリもいいでしょ。