2024年9月2日月曜日

高難度の本修繕

 新年度になって7回目の本修繕ボランティアの日。はや9月だが、諸事情で今年度の活動日は少ない。9月の活動もこの日だけだ。
 9時25分に到着し、参加者は4名と少なめ。前回活動日から2週間しか経ってなく、修理対象本はそう多くない。

 目についた単行本の補修から始める。「斜光」という分厚い小説で、数ページ分が本体から外れている。他に問題はなく、単純に接着剤をノド部分に塗って処理すればよいが、問題はその厚さ。637ページもあって、ゆうに3センチを超える。
 以前に作って寄付した木製クリップのうち、最大のものを使ってギリギリ足りた。現状の木製クリップは最大で42ミリ厚までの対応だが、さらに厚い本にも対応可能なものが必要かもしれない。


 続けて分厚い昆虫図鑑の修理に取り掛かる。夏休み期間中に多くの子供たちが閲覧したせいか、状態が非常に悪い。かなりのページが脱落し、他にも脱落寸前のページが多数。
 過去に透明シートで修復を重ねた痕跡があり、その修復部も部分的にはがれ始めていて、根本的な修復が不可避の状態だった。
 係員と協議し、昨年4月に初めて手掛けた背の部分にノコで刻みを入れ、全体を糸と接着剤で補強する難しい修復を再度やることになる。

 当時の作業記録はスマホに保存してあり、参照しながら作業。
 まずバラバラ状態の本文を、見返しだけ残して表紙から取り外す。過去の修復部分をすべてカッターで切り離し、はみ出した接着剤や透明シートをカッターで除去した。
 紙ヤスリも使って本文を整える。全体を木製クリップで挟み、背から5ミリほど残して蝶ナットできつく締めた。仮固定できるクリップがなく、整えたページを崩さずに固定するのが非常に難しい。


 背の部分を手前にして机に置き、床に座ってノコで深さ2ミリの刻みを入れる。刻みは端部から1センチ離して2センチおきに計14ヶ所入れた。前回は他のメンバーに押さえてもらって作業したが、今回は大型木製クリップがあり、一人でやれた。
 タコ糸を15センチ切り、2つに折って接着剤を塗った溝にはめこむ。大事な部分なので、接着剤の不足分を補給しつつ、3本ずつ数回に分けて作業。無事に終わらせた。

 その後、表紙に残っている見返しの傷みを補修する。一部に破れがあり、和紙を細長く切って裏から接着剤で貼った。同時に背の傷みも補修して整えた。
 この日可能な作業はここまで。接着剤乾燥後の次回は本体の背に寒冷紗を貼り、補強したタコ糸の端部処理をする。寒冷紗の乾燥が早ければ、表紙への接着まで一気にやれるが、状況は微妙。
 時計は作業終了時刻ちょうどの13時。休みなしで3時間半も作業し、かなり疲れたが、久しぶりに手応えのある作業だった。