2024年4月15日月曜日

本修繕スキルの幅

 新年度最初の本修繕ボランティア活動の日。朝から初夏を思わせる陽気で、札幌アメダスでは26.1度の夏日を記録した。 
 9時10分に地区センター図書館に到着。このところ早い時間からの作業が続いている。

 年度始めということもあって、参加は7名と多い。1ヶ月ぶりの活動で、作業対象となる本は棚に山積み。前年度からの持ち越し作業本が3冊あるはずだったが、調べてみると1冊は棚から消えている。
 本文が表紙から脱落した絵本で、接着は終えていたが、見返しと表紙の隙間調整が残っていた。係員に確かめると、はっきりしないが、おそらく接着剤の硬化が完全で、調整の必要なしと判断したのだろうとのこと。


 残っていた2冊の持ち越し本のうち、同様に本文が表紙から脱落して寒冷紗で補修し、見返しと表紙の隙間処理が残っていた絵本を修復。
 見返しの色がほぼ同じ色画用紙を見つけ、幅30で2枚切り、接着剤固定して終了。

 続けて本体の背の部分が数か所ではがれていた厚い乗り物図鑑の修復を継続する。
 本文の補修は終え、背に貼った寒冷紗は完全に乾いていたが、同じく寒冷紗で補強した表紙をあててみると、なぜかぴったり収まらない。本文のうち、背の部分だけが2ミリほど膨らんでいる。
 本文は木製クリップで頑丈に固定したが、間に使った接着剤が微妙に膨らんでページを厚くしてしまったようだ。

本文の背を表紙から箱状に浮かす措置

 以前にも厚い本の修復で似たことがあり、表紙カバーの位置をずらして調整した。しかし今回は表紙が厚紙状の一体型でカバーがなく、調整は不可能。
 係員と長い協議のすえ、表紙の表側だけをぴったり合わせ、裏側はずれたままで収めることに最終決定した。

 問題がもうひとつあり、本文の背を表紙と接着させないこと。分厚い本は閲覧を考えて、本文を背から箱状に浮かせて収める必要がある。
 他の本を参照しつつ、補強した寒冷紗の一部だけを表紙に固定するなど、かなり苦労して条件通りに収めた。


 最後に新規の補修を手掛ける。糸綴じされた絵本の本文が、表紙から完全に脱落している。
 最近よくある補修の典型だったが、綴じ糸が切れて本文の折丁がバラバラ状態だ。しかも外側の1枚が見返しを兼ねていて、表紙に糊付けされている。
 この見返しをはがして全体の糸を綴じ直すのが正しい補修方向で、本文だけ綴じ直して表紙に接着しても、すぐにまた脱落するだろう。

 表紙にべったり糊付けされた見返しをはがすのは至難の業で、困り果てて係員の意見を求めると、見返しの片側を部分的にカッターで切り、糸綴じ作業分だけをはがすとやれるのでは?とのこと。
 まさに目からウロコのアイデアで、これならはがし作業も糊付け作業も最小限で済む。


 切っても閲覧には支障がない表側の見返しを3センチ幅でカット。スクレイパーで表紙からはがして、本文の折丁と共にタコ糸で頑丈に返し縫い。作業には布団針と千枚通し、プライヤーを使った。
 想像以上にうまく仕上がり、はがした見返し部分を綴じ糸と共に接着剤で固定して終了。

 この日は他に簡単なページはがれの本補修もやり、計4冊を手掛けた。終了時刻は13時で作業時間は4時間近く。疲れたが、初めてやった作業も2つあって、スキルの幅がまた広がった。