新聞の投稿エッセイ欄に興味深い記事が載った。妻が皮膚科に出かけ、夫が留守番。我が家でもよくあるシーンだが、妻が診察中に倒れたことを病院からの電話で知る。大動脈解離で心肺停止となり、総合病院に搬送されるも、そのまま帰らぬ人に…、といった内容。
夫婦は同年代で、つまりは我が家でいつ起きてもおかしくない話だった。
万一のときに子供たちが困らないよう、「終活」という形で各種情報は詳しくまとめ、年に一度は更新して子供たちにメール送信している。紙にも印刷し、USBメモリにも収めてある。
「死」への備えは万全のつもりでいたが、あくまでそれはつつがなく死を迎えられたら、という前提でのこと。投稿の夫婦のように、どちらかが不意の事故や病で自宅外で倒れた場合、果たしてすみやかに家族へ連絡が届くのか?は、全く別問題なのだった。
現に私の母も外出中にスーパー店頭で倒れ、店の利用客(看護師)が気づいて救急車を呼んでくれて、一命はとりとめた。
ただ、連絡先や氏名を示すものを何も持ってなかったため、病院から子供に連絡が届くまで、しばしの時間を要した。意識はあって名前は言えたが、子供の連絡先(電話番号)がわからない。
幸いに子供の一人が珍しい苗字で、住所を手がかりに電話連絡がついた。 同じことが、私たち夫婦にも起きる可能性がある。すでにそういう年齢である。
問題は連絡先で、固定電話は廃止しており、自宅に連絡はつかない。緊急時に夫婦の片方か子供の誰かに連絡がつくようにしておく必要がある。
妻の場合は、携帯(ガラホ)の優先連絡先に私と市内在住の息子が登録済みで、第三者でもわかる仕組み。私の場合はスマホになるが、パスワードか指紋認証を介さないと連絡先は閲覧できない。はたして意識をなくした患者の指紋認証を第三者がやってくれるだろうか?
確証がなくて不安になり、スマホの裏に「緊急連絡先」と称し、妻と子供の電話番号を記したテープを貼ることにした。これでひとまずは安心できそう。
肝心なのは、携帯やスマホを持たずに外出しないこと。そして一人で出かける際には、たとえ買物や散歩でも、家族に一声かけることだ。
(不可能ならメモを残す)