2024年11月25日月曜日

久々の長丁場で歌う

 10年以上も前に路上ライブ(札幌市公認のチカチカパフォーマンス)で知り合った同年代女性Sさんから連絡があり、近況報告と共に最近始めた趣味の会で歌っていただけないか?と打診された。
 路上ライブではその後も数回遭遇し、熱心に聴いてくださった。広く地域活動をされている方で、認知症予防イベントなどにも呼んでもらえるようになり、Sさんがらみのライブは計10回前後に達した。私の企画ライブにも何度か足を運んでいただいた。
 コロナ禍で双方の活動が難しくなり、しばし関係は途絶えたが、昨春に私が企画した地区センターライブに声をかけたら、喜んで来てくださった。今回の新たな依頼は、その延長上にあったと思う。

 打診は1ヶ月ほど前で、過去のSさん企画ライブに習い、地域の町内会館で10時からの90分という長丁場の要望。
 コロナが沈静化してから介護施設を中心に散発的な依頼はあったが、自身の関節痛や加齢の問題もあって、ライブは40分前後にとどめてきた。昨春の地区センターライブも60分で、やれるかどうか不安もあったが、幸いに準備期間は充分ある。今後の活動にむけて自分を試す意味もあり、要望通りやることに決めた。


 メールで打ち合わせるうち、リクエスト希望が12曲送られてきた。シャンソン、演歌、POPS、フォークとバラエティに富んでいたが、バラード系の曲が多く、単調な流れにならぬよう構成には腐心した。
 過去ライブと同様に前半を事前リクエストで、後半をその場のリクエストで歌うことにし、全曲を毎日欠かさず練習。曲順の微修正を繰り返し、前半の構成が最終決定したのはライブの直前だった。

 苦手な午前中ライブとあり、2週間前から黒豆茶で喉を調整する。寒暖が激しい時期のせいか、2日前の練習中に咳き込むというトラブルが発生。初期の風邪に効く漢方薬(板藍根)を飲んで対処した。
 不順な天候が続き、前日には12センチの雪も降ったが、当日は幸いに晴れて温暖な日和。路面の雪も消え、8時50分に家を出て、45分後には会場に着いた。


 健康寿命維持を目標にした会とかで、発足直後という事情もあってか、聴き手は14名と少なめ。会場には新たに収納スペースができて、以前より狭くなっている。喉の不調を想定してPAはいつも通り2台を準備したが、1台でやることをその場で決めた。
 予定ぴったりの10時に開始。前半50分で12曲を歌う。
(「サボテンの花」以外は事前のリクエスト曲)

「サン・トワ・マミー」「空港」「糸」「カサブランカ・ダンディ」「バス・ストップ」「パダン・パダン」「山谷ブルース」「雪が降る」「つぐない」「愛燦燦」「池上線」「サボテンの花」
 大半が初めての聴き手ということで、場のつかみを意図してMCを長めにする。要所で自己紹介やギター弾き語りを始めた経緯などにもふれ、最初は固かった場も、じょじょに馴染んできた。
 12曲中、ギター伴奏が容易なストローク奏法で弾ける曲が5曲で、他7曲はアルペジオ奏法で弾くバラード系。うち5曲が4拍子3連符アルペジオの繊細な曲調だった。

 久しぶりの単独長丁場という緊張もあり、2曲目の「空港」でのアルペジオが怪しくなりかけたが、なんとか克服。軽快な「カサブランカ・ダンディ」以降は問題なくやれた。
 事前の喉調整がうまく運んで、高音や低音の音程は安定し、ロングトーンも快調。不安だった咳が出る気配はなかった。


 聴き手は60〜70代で全員が女性。場は終始静ひつだったが、曲ごとの拍手は熱く、集中して聴いてくれるのがわかった。
 MCを多用したツケで、前半は予定を10分オーバーして終了。休憩を10分とるつもりが、ただちに一覧を配布してリクエストを募ることに。5分後には後半を始め、40分で10曲を歌う。(すべてリクエスト)

「ルビーの指輪」「吾亦紅」「わかって下さい」「矢切の渡し」「涙そうそう」「ラヴ・イズ・オーヴァー」「時代おくれ」「あずさ2号」「恋の町札幌」「熱き心に」
 前半12曲は代表のSさんによる選曲だったが、後半はその場に集まった他メンバーによるリクエスト。要望が全く出ない可能性もあり、冬にちなんだ曲を中心に私の選曲による別セットも用意したが、そんな心配は無用だった。
 前半と一転して、ストローク系の曲が大半。アルペジオ系は「吾亦紅」のみで、普段はストローク奏法で弾く「ラヴ・イズ・オーヴァー」を、急きょアルペジオ奏法で演った。
 曲順はメリハリを考慮しつつ、その場で決めたが、おおむねうまく運んだ。

 予定を5分オーバーして終了。喉は最後まで好調をキープし、ギターを押さえる左指がつることもなかった。スケジュールの都合でアンコールはなかったが、聴き手の顔には満足感が漂っていた。
 終了後、Sさんから「泣いている方が多数いましたよ」と告げられる。実は歌っている途中でそのことには気づいていた。久しぶりの長時間ライブだったが、聴き手には充分届いていたようだ。
 すでに後期高齢者に突入しているが、未だに歌える場があることを幸せに思う。入念な事前準備をすれば、もう少し歌い続けられそうな気もしてきた。