(「金婚旅.2」からの続き)
旅の3日目、前日歩き疲れたせいか、目覚めると6:20。8時間20分も寝たことになり、久しぶりの熟睡である。おかげで身も心もスッキリ回復した。
棟方志功作による世界最大級の木版画が吹抜けに飾られたロビーを経由し、やや出遅れて7時に食堂へ。
朝食は6:30から始まっていたが、この日はバス集合時間が25分延びて8:40となり、前日と似た洋食バイキングをゆっくりと味わう。
順調に走って9:20に新岡山港に着いたが、フェリー乗場の対岸の山から青い煙が上がっていて、消防のヘリが忙しく動き回っている。今治と同じ日に岡山でも山火事が発生していて、この旅2度目の遭遇だった。
フェリー運行に支障はなく、定刻の10:10に出港して、波静かな瀬戸内海の旅を楽しんだ。
乗ったフェリーの内部デザインがビビットで洗練されていて好奇心が湧き、あちこち探索するうち、飾ってある絵に見覚えのあるサインを見つけた。工業デザイナーの水戸岡鋭治氏で、JRなどの車両デザインで有名な方だ。
創作活動の初期には斬新な建築パースも手掛けていて、私もかなり影響を受け、氏の本も持っている。フェリーのデザインまでやっていたとは知らず、こんなところで遭遇するとは驚きだ。
船内を歩き回っているうち、11:20に船は小豆島西部に位置する土庄港に入った。
世界一狭い海峡とギネス認定された土渕海峡を左手に眺めつつ、バスは20分後に小豆島大観音へと到着。ここにあるカフェ「仏陀茶房HAPPY」でローストビーフ丼の昼食となった。
「香川ブランドオリーブ牛」というふれこみだったが、あいにく私は牛肉が苦手。一切れ妻に手伝ってもらい、残りはがんばって食べた。本場の小豆島素麺の吸い物は美味しかった。
別料金を払うと内部エレベーターで展望台まで上れ、メンバーの半分は参加していたが、午後から別の展望スポットの訪問予定があり、私たちは周辺を散策するだけにした。
12:40に観音様を出発。東に走って、島中央部にある渓谷、寒霞渓(かんかけい)へと向かう。
バスを降りた山頂駅が標高612mで、荒削りの断崖や奇岩のはるかむこうに、瀬戸内海が見渡せる。秋の紅葉が見事らしいが、季節はまだ早春。この日は雨の予報が出ていて、眺めはいまひとつだった。
撮影台にスマホをセットしてセルフ撮影していたら、若い外国人男女が「撮りましょうか?」と声をかけてくれて、ありがたくお願いする。倉敷に続いて、この旅2度目の好意だった。
小豆島土産が充実しているという売店で、オリーブチョコ、オリーブクランチ、オリーブ素麺、鳴門ワカメなどをまとめ買い。
そこから断崖をかすめてロープウェイで5分ほど下り、麓駅駐車場で待ち受けていたバスに再び乗る。この旅4種類目の乗り物利用となった。
テレビCMにも使われていて、無料レンタルの魔法のほうきにまたがって記念写真を撮る姿が多数。
映画「魔女の宅急便」のロケ地であることにあやかったものだが、私も妻も真似をするつもりはなく、風車前で写真を撮るだけにした。
園内の「花と香りのガーデン」には、魔女宅の映画ロケで使われたパン屋が「雑貨コリコ」として土産物店になっている。
好奇心半分でのぞいてみると、精巧なカエルの置物がいくつかあり、「カエ太」という名のスコップにまたがった魔女宅ふうカエルを、妻が金婚記念に買ってくれた。
雑貨コリコ |
(人が多すぎてポストの写真撮影は断念)
14:55にバスは出発し、池田港発15:30の高松行フェリーに乗船。小豆島滞在時間は移動を含めて4時間強の駆け足観光で、充分堪能したとは言い難い。
「エンジェルロード」「二十四の瞳映画村」「中山千枚田」など、訪れたい名所はまだまだあった。団体行動なのでやむを得ないが、いつか別の機会があればとも思う。
アオアヲナルトリゾートのロビー |
1時間で高松港に到着し、今夜の宿となる徳島鳴門温泉に向かう。
高速に乗るまで、49年前の新婚時代に現場赴任で9ヶ月暮らした高松の街中をバスは通り過ぎ、屋島や栗林公園、百十四銀行本店のブロンズ外壁など、当時と変わらぬ風景に再会し、妻と懐かしさにふけった。
17:45に旅行最後の宿泊地となる「アオアヲナルトリゾート」に到着。新しく近代的な四つ星ホテルだ。客室からは打ち寄せる鳴門海峡の波が間近に見られる。
夕食はシフトの都合で19:30からとなり、まずは2つある温泉に入る。妻は1階の露天風呂へ、私は8階の展望風呂へと別れたが、日はすでに暮れていて、眼下の海は全く見えなかった。
夕食は「阿波三昧バイキング」と称した郷土料理。鳴門鯛を中心とした刺し身や寿司、しゃぶしゃぶ、天ぷらなどが食べ切れないほど並んでいる。旅も最後なので、妻と生ビールで乾杯。
1時間ほどで満腹となり、21時には部屋に戻った。波の音と共に最後の夜は静かにふけてゆき、23時に眠りにつく。
(3日目の歩数=7,911歩)(旅日記4日目に続く)