2025年6月17日火曜日

メルカリ出品再び

 5月のGWに初めてトライしたメルカリの出品(無線LANルーター)が、わずか30分で売れたのに気をよくし、次なる出品に挑戦した。
 今回の出品は、51年前の古いスポーツ新聞。先日亡くなった長嶋茂雄さんが引退した試合を特集した報知新聞である。
 熱烈な巨人ファンだった私が結婚する前年のことで、詳しく報道されていた報知新聞を駅の売店で購入し、資料箱の奥底に大切に保存しておいたもの。以降6度の引っ越しにも耐えてきたが、自分自身が終活をすべき年齢に差し掛かり、いまが処分の時期と判断した。

 幸いにカビや汚れはなく、シミ虫に食われることもなく、経年に寄る色あせ以外に、大きな傷みはない。ただ、なにせ50年を越す古い資料。はたして価値があるものなのか、まるで見当がつかなかった。
 出品する前にメルカリやヤフオクで調べてみると、似た商品はあったが、全く同じものは存在しない。ただ、この種の資料にも買い手はいるとわかり、出品を決めた。

防水袋と緩衝材で仮梱包を済ませた商品

 初回の出品で要領はつかんだので、その記録を見ながら作業。まず写真を5枚撮って明度などの微調整を施す。
 続けて商品の説明を考える。出版物なので出版社と記事の内容以外に書くことはなく、商品の状態にかなりの説明を割いた。カテゴリは「スポーツ→野球」と決め、メルカリが活況となりそうな週末の金曜〜6/13、22時半に出品の手続きを開始。
 前回と同様にまず写真を順にアップロードすると、メルカリ側から商品タイトルや説明文、ジャンル、商品価格を提案してきた。

 準備していた内容とは大きく異なり、商品名や説明文の多くを簡潔でわかりやすいメルカリの提案に従った。保存状態や記事説明の一部のみをオリジナルで追加。カテゴリもメルカリ提案に従い、「本雑誌漫画→雑誌→スポーツ」とした。
 商品価格はメルカリから6,200円と提案されたが、こちらは他の似た商品に比べて、明らかに高い印象。当初は1,500円のつもりだったが、少し上げて2,000円に決めた。
 商品配送方法は前回の「らくらくメルカリ便」から「ゆうゆうメルカリ便、ゆうパケット(¥230)」に変更した。写真撮影後に仮梱包してみたらサイズが微妙で、こちらが最安値で送れると判明。メルカリ独自の配送サービスであることは同じで、大きな違いはない。
 出品手続き後、じっと連絡を待つが、出品後わずか30分で売れた前回のような早い動きはない。2時間ほど経って確かめると、閲覧数はわずか5で、売れる目安となる「いいね!」もゼロだった。
 日付が変わっても変化はなく、この日はあきらめて大人しく寝た。

 一夜明けて閲覧数は8まで増えたが、動きは鈍い。早く売るためには価格設定に問題がありそうだった。
 そこで価格を200円だけ下げ、1,800円にして再出品。出品時間は22時半では遅すぎるとネット情報から知り、20時に手続きした。
 すると、閲覧数が一気に19まで増え、「いいね!」も2個ついて2時間後には売れた。価格を下げたことがよかったのか、土曜の20時という時間帯がよかったのか、メルカリの経験が少なくて、よくわからない。
 仮に時間帯のせいだとしたら、値下げせずとも売れた可能性はある。しかし、最初に相談した息子のアドバイス「欲張らないで低めに価格設定すれば、すぐ売れるよ」の言葉通りの結果だろう。


 購入者から「防水処置を念入りに」との要望があり、ビニール袋を2重にして封印も厳重に再梱包した。
 売れたのが土曜夜(6/14)で、送付手続きは郵便局でやろうと思ったら、最寄りの集配局が土日は休みに変わっている。やむなく他の送付手段であるローソンに変更。

 近所のローソンに行き、「Loppi」という専用機で手続きをする。スマホのメルカリ専用アプリから商品のQRコードを表示させておき、「Loppi専用コードをお持ちの方」のボタンから進んで、商品のQRコードをアプリから読み込ませる。
 出てきたレシートを30分以内にレジに持ち込み、従業員が印刷してくれた送り状を自分で封筒に貼って提出すれば終了。ここで配送料は支払わない。多少の違いはあるが、「らくらくメルカリ便」と基本的な扱いは同じだ。

 送付して2日後の今日、商品が無事に届いて購入者の評価も得た。残高は少し増えたが、いまのところ現金化せず、メルカルでの別商品購入か、キャッシュレス決済「メルペイ」で有効に使おうと考えている。

2025年6月16日月曜日

ボラメンバー増員

 新年度3度目の地区図書館〜本修繕ボランティア活動日。いつも通り9時半に図書室に入ると、知らないメンバーが一人増えていた。経緯は不明だが、ボランティアの増員があったようだ。

 遅れてやってきたFさんが、「私の座る席がない」と訴える。一人増えた関係で、新旧のボランティアは計8人となり、この日は全員が出席していた。
 作業机は窓際のカウンターに4席分あり、窓と書棚の間には長テーブルが2脚あるはずが、この日は大きめの角テーブル1脚4席分だけで、すでに全席が埋まっている。ボランティアだけなら8席でギリギリ足りるが、指導する係員の分がない。
 係員Aさんのうっかりミスらしく、急きょ長テーブルを追加した。


 気を取り直して作業にとりかかる。この日は前回手掛けて作業が途中になっている本が2冊ある。いわゆる持ち越し分で、まずは新人から受け継いだ小型絵本の修復をする。
 バラバラなった本文の全ページをタコ糸とボンドで補強し、さらに背の部分に細く切った寒冷紗をボンドで貼ったのが前回までの作業。
 最初に補強したタコ糸の端部を千枚通しでほぐし、扇型に広げて寒冷紗にボンド固定する。タコ糸で補強した場合の必須工程だ。

 ボンドが乾くまでの時間を使い、表紙側の加工に取り掛かる。表紙と見返しの間にスクレイパーを差し込み、少しずつ剥がしてページ本体の背に貼り付けた寒冷紗の端部を差し込むスペースを確保する。
 こちらも定番作業だが、既存のボンドが固くて作業に手間取った。なんとか終わらせ、表紙側の該当部分にボンドを塗り、ただちにページ本体をあてがい、両側に飛び出した寒冷紗を隙間に差し込む。難易度の高い工程だが、うまく収まった。
 最後にWクリップ3個で固定し、「作業終了棚」に収めて終了。


 続けて作業持ち越しとなった分厚い科学図鑑の修復を続ける。
 こちらもバラバラになったページをそろえ、背の部分をボンド固定する作業だったが、万一ページがうまく止まってなければ、タコ糸や寒冷紗での再補強をする可能性もあった。

 恐る恐る大型木製クリップを外してみると、思っていたより状態はよく、処理した部分はきれいに固まっていて、閲覧にも支障はない。
 ただ、1ヶ所だけページの糸綴じが緩い箇所を発見。脱落してはいないが、今後のことも考えてボンドで再固定することにした。
 ページの大部分は固まっているので、今回の固定は目玉クリップ3個で簡単に処理。ボンドが乾けば、次回で作業完了となる。

作業完了棚の様子

 持ち越し分の手強い作業が1時間強で終わり、続けて修理対象棚から新たな本を見繕う。難しい作業が続いて疲れていたこともあり、時間までに簡単なページ外れの本3冊を処理した。

 8人のフルメンバーが精力的に動いたこともあり、修理対象棚に並んだ本はみるみる減って、残り少なくなった。
 ただ、閲覧が続く限り修理対象本がゼロになることはなく、作業に終わりはない。

2025年6月15日日曜日

未だにお父さん

 今年も3人の子供たちから、思い思いの父の日プレゼントが届いた。
 長女からは花とレトルトカレーの詰め合わせ。長男からは漬物の詰め合わせ。次男からは珈琲の鉢植えと珈琲ケーキ。

 長女は母の日プレゼントが花とスープの詰め合わせだったので、今回はカレーで変化をつけたとのこと。長男は「プレゼントやお土産に困ったら、漬物を」と以前から話していたのを思い出したのだろう。
 次男はこれまでの花から観葉植物へと、かなりの変化だった。いずれも食べ物がからんでいるあたり、親の嗜好をうまくとらえている。


 父の日はこれで終わりと思いきや、夕方になって妻が買物に行き、「父の日のお祝いよ」と、鯛の刺身をスーパーで買ってきた。

 妻にとって私は夫であり、決して父ではないが、子供が自立して家を出たあとも、「お父さん」と未だに呼び続けているから、妻にとっては父のような存在なのだろう。
 そんなわけで、あえてその呼び方を否定はせず、受け入れている。

2025年6月14日土曜日

漫画「火の鳥」を読破

 NHKで手塚治虫作のアニメ「火の鳥」の再放送が1月からあり、以前から関心があった全13作をようやく見届けた。
 初回放送は2004年。原作の全12編を5編に凝縮&再編成してハイビジョン放送したものだったが、当時はハイビジョン放送の受信設備を持ってなく、観ることができなかった。

 観終わると、原作を読みたくなった。アニメ作品は美しいが、原作の持つ息遣いのようなものを知りたかった。アニメ化されていない他7編の内容も気になる。
 これまでも映画やテレビドラマで知ってから原作を読みたくなり、図書館で借りた作品は数多い。
 調べると、文庫化された全作品(講談社)が市図書館にある。16冊に別れていて分厚いが、一度に3〜4冊を古い順に借りて読んだ。


 実は学生時代に卒論を指導してもらった教官(助手)が漫画「火の鳥」の大ファンだった。
 卒論が始まって数ヶ月経ったころ、「一杯やらないか?」とアパートの部屋に誘われた。一緒にやっていたT君とノコノコ出かけたら、本棚に「火の鳥」の載った漫画雑誌がズラリ並んでいて驚いた。
 聞けば初刊から欠かさず読んでいるという。「火の鳥」は1967〜1973年まで月間漫画雑誌「COM」に看板作品として連載されていて、教官の部屋を訪れたのが1972年だったから、時期的にも一致する。棚に並んでいたのは、おそらくこの「COM」だ。

 当時はまだ作品が連載中で、教官は「火の鳥」の持つ素晴らしさを、オンザロックを傾けつつ熱っぽく語っていたのを思い出す。
 その後「火の鳥」は掲載雑誌が2度にわたって休刊する不運にもめげず描き続けられ、1986年1月〜1988年2月まで野生時代に掲載の「太陽編」でいちおうの完結をみる。
 作者の手塚治虫が1989年2月に亡くなっているから、まさに死の直前まで書き綴られたライフワークといえる。

 一通り読んでみて感じたのは、「火の鳥」という絶対不死の宇宙神のような存在を軸にし、ビッグバンで宇宙が誕生して以来、脈動しつつ発展と衰退を繰り返す文明や宗教、生物の輪廻がテーマであること。編ごとに過去と未来を行ったり来たりし、ストーリーや登場人物が各編のどこかにつながっている構成でもそれがわかる。
 あまりに壮大過ぎてつかみどころがなさそうだが、「宇宙の始まりと終わり」だとか、「自分はどこからやってきて、どこに行くのか?」等々の哲学的疑問を抱く人には、魅力あふれる作品に違いない。
 読み方次第では、「人はこの世に生を受けて何をなすべきか?」という問いに対する、ひとつの答えにたどり着けるかもしれない。

 難しく考えずとも、独立した各編は単純な歴史物語&SF作品としても充分に楽しめる。
 手塚の描くヒロインは実に魅力的で、「黎明編」のヒナク、「羽衣編」のトキ、「望郷篇」のロミ、「太陽編」のヨドミ等々、読んでいて愛しさがこみあげる得難いキャラクターだ。
 アニメだけでは感じ取れない世界観を確かに見届けられた。

2025年6月11日水曜日

誰もいない森林公園

 2022年夏にテレビのクイズ番組で当たったすし券が2万円分あり、これまで8回使ったが、まだ9枚〜4,500円分が手元に残っていた。
 使用期限が2025年末で、つまりは今年中。期限切れで無駄にしてはならず、何度か行った「銭函大山」という小樽の寿司&焼肉店に昼食を食べに行った。

 天気予報は雨で気象レーダーで雨雲の切れ間を見計らって出たはずか、途中で前が見えないほどの激しい豪雨に見舞われ、慎重に運転して無事に到着。


 この店を利用するのは1年ぶりで、都合4度目になる。いつものように寿司ランチを注文。昨年末に100円値上がりして1,400円になっていたが、味に大きな変化はない。
 ネタのうち、好物のカニがシメ鯖に変わっていて、鯖の苦手な私には残念。やむなく鯖好きの妻に食べてもらった。
 会計はすし券5枚に現金300円を足し、計2,800円。残る4枚〜2,000円分は秋の誕生会にでも使おう。


 帰路はディスカウント店で買物をするつもりが、なぜか雨はカラリと上がり、時折陽がさすほど。スーパーに向かう途中にある「前田森林公園」に久しぶりに寄ってみることに予定変更した。

 この公園に来るのは7年ぶりのこと。名前の通り、豊かな森林に囲まれた庭園が広がっている。
 6月上旬には計320メートルにも及ぶ藤棚回廊に藤の花が咲き乱れるが、すでに時期は過ぎていて、わずかに残った花が、名残を惜しむように咲いていた。


 豪雨の通り過ぎた直後とあってか、公園内の人影はまばら。600Mのカナル(運河)や藤棚回廊、周辺の園路に人は見当たらず、広大な公園を完全に独占したような不思議な感覚に陥った。

 珈琲かアイスでも食べようと展望ラウンジに入ってみたが、まだ営業時間内のはずが、こちらにも人の気配はない。やむなく自販機で100円の梅味ファンタを買う。梅味は初めて飲んだが、歩き疲れた喉に染みる味だった。
 突然の豪雨のせいで、怪我の功名ともいえる得難い時間と空間を堪能できた。

人影の見えない園路

2025年6月9日月曜日

初披露を連発

 10年以上も前に路上ライブ(札幌市公認のチカチカパフォーマンス)で知り合った同年代女性Sさんからの依頼で、Sさんが代表を務める健康寿命維持を意図した会で歌った。
 コロナ禍が沈静化しつつあった昨秋に初めて依頼され、今回が2度目。会場は過去に何度も歌っている市内の町内会館で、自宅からは20kmほど離れているが、冬以外は移動に支障はない。

 開始は前回と同じ10時で、演奏は90分を希望。声の出にくい午前中で、長時間のソロライブ。心身の衰えを自覚する身には厳しい条件だったが、長年お世話になっている方なので、万難を排して準備した。


 前回同様に8時50分に家を出る。途中で複数の道路工事に遭遇して遅れ、到着は9時45分。前回から会場が狭くなり、参加人数も13名とわかっていたため、PAは1台で臨んだ。
 設営は簡単に終わって、5分早い9時55分に開始。冒頭でSさんの挨拶などあって、実際に歌い始めたのは10時ちょうどだった。前半45分で11曲を歌う。
(1曲目以外は事前のリクエスト曲)(※は初披露)
「22才の別れ」「J(門倉有希)※」「恋の予感※」「アメイジング・グレイス」「時計台のある街(浅沼修)※」「恋のしずく」「あいたい(林部智史)※」「酒よ」「アカシアの雨がやむとき」「どうぞこのまま」「群青(谷村新司)※」


 前回と参加メンバーに変更はなく、その点ではやりやすかったが、問題は事前リクエストの内容。7曲中5曲がレパートリーになく、さらに「J」「時計台のある街」「あいたい」の3曲が聞き覚えのない曲だった。
 幸いだったのは要望がすべて1ヶ月近く前にあったこと。YouTubeを中心に情報をかき集め、連日の歌い込みでようやく人前で披露できるレベルに達した。

 事前のやり取りの中で、「女性の曲が少ないですね」「雨にちなんだ曲が欲しい」との話になる。
 全体的に別れや死をイメージした曲が多いという難しい面があり、相談のすえ、当初の7曲に加えて「恋のしずく」「アカシアの雨がやむとき」「どうぞこのまま」を要所に配置し、バランスをとった。
 こうした思惑はおおむねうまく運び、初披露連発の割には大きなミスもなく、無難に前半を終えた。
 休憩前の挨拶でSさんが感極まって言葉に詰まるというシーンもあり、場は終始水を打ったような静けさだったが、聴き手には届いていたと思う。


 前回は短い休憩後に後半を始めたが、今回は前半終了後に珈琲とケーキが振る舞われるという。珈琲程度なら問題ないが、ケーキを食べながらのライブ進行は難しいことが過去の例でわかっている。
 そこでSさんに事情を説明して休憩を15分に延ばし、11時から後半を始めることにした。その場でリクエストを募り、35分で8曲を歌う。

「マイ・ウェイ」「心もよう」「夢の途中」「ジェラシー(井上陽水)※」「for you…」「空港」「くちなしの花」「霧の摩周湖」
 事前に配ったリクエスト一覧にある曲とばかり思っていたら、「ジェラシー」の譜面が検索で見つからない。レパートリーにあることは確かで、他の予備ファイルを検索して、ようやく見つけた。
(リクエストの少ない曲は汎用リストから外してある)
 ラストの「霧の摩周湖」も全く同じ経緯で予備ファイルから譜面を取り出す。事前リクエストもそうだったが、なぜか後半の当日リクエストまでも、リストを無視した任意の要望になっていた。

 他に「アメリカ橋」のリクエストも出たが、こちらはレパートリーになくて対応不可能。前半の「時計台のある街」が半年前の同じ場で要望があり、応えられなかったもの。いずれ歌う機会があるだろうか。
 結果として数年ぶりに歌う曲や初披露曲が相次いだが、不思議に問題なく対応できた。特にラストの「霧の摩周湖」は出来がよく、終了後に「泣けました…」との声が複数届いた。


 この日は30度に迫る暑い日で冷房がまだなく、アルペジオ奏法の曲が汗で弾きづらくなるというトラブルが発生した。持参のタオルで指と弦を拭いつつ歌うことでやや改善したが、今後の課題だ。
 コルセットを装着したこともあって腰痛は発生せず、手首周辺の痛みもなかった。数週間前からの黒豆茶と、当日朝に飲んだ喉の漢方薬「響声破笛丸」が効いたか、喉は終始好調をキープ。

 終了後に休憩で食べられなかった六花亭のケーキをお土産にいただき、「次はクリスマス月間にお願いしますね」と、半年後の予約までもらった。
 リクエストの幅が広い長時間ライブは厳しいが、自らの達成感を拠り所に、なんとか継続したい。

2025年6月7日土曜日

絵本とダルシマー

 本修繕ボランティア仲間の同年代女性Kさんが、地区センターでコンサートをやるという。以前から趣味で打弦楽器のハンマーダルシマーを演っていることは聴いていたが、メンバー2人の主催による初の本格コンサートらしい。
 ハンマーダルシマー演者とは過去にもコラボ演奏したり、ブッキングライブで演奏を聴いたりしたことがある。ギターとは一味違う長いサスティーン音が特徴で、絵本読み語りとのコラボという新しい試みもあるというので、聴き手として参加することにした。

 会場は地区センターの視聴覚室。壁や床に防音対策が施されていて、私も13年前にオリジナルCD発売の記念ソロライブをここでやった。
 開演15分前の13時15分に会場に入ると、演奏者以外の客は1名のみ。初めての単独コンサートということで、集客は難しかったのか?と思っていたら、その後続々と人が集まってきて、開演直前までに用意された20席はほぼ埋まった。


 時間ちょうどの13時半に開演。メンバー紹介と「シフロ」というグループ名の由来、ハンマーダルシマーという楽器の説明などに続いて演奏が始まった。

 配布のプログラムに従い、前半はアイルランド民謡が中心。3曲目は「にぐるまひいて」という絵本の読み語りに合わせ、シーンごとに異なる数曲をダルシマーで弾くという意欲的なコラボ企画だった。
 この選曲が絶妙で、あくまでBGMなのだが、まるで絵本のために作られた曲のように思えた。


 4〜7曲目には「浜辺の歌」「翼をください」「風がはこぶもの」「Over The Rainbow」など馴染みのある曲が続く。プログラム裏に歌詞が印刷してあり、参加者が自由に歌える配慮がされている。プログラム中程でアクセントにしたいという意図を感じた。
「ガチガチに緊張してます」と開演前に語っていたKさん、前半数曲は手の動きがやや固く、一部で楽譜を飛ばしたりしていたが、中盤からは回復。落ち着いた演奏をしていた。

 後半4曲のうち、3曲は絵本読み語りとのコラボ企画。Kさんは絵本や紙芝居の読み聞かせボランティアを長くやっていて、朗読には手慣れたものを感じた。特に女の子が主人公の絵本には、独特の味がある。
 ラストは「ゆうやけにとけてゆく」という絵本読み語りとのコラボ。11本のプログラム中、読み語りが4本という力の入れようで、そもそもタイトルが「絵本とダルシマーコンサート」だったから、比重や配置には納得できた。


 予定通り14時半に終了。アンコールには「珠江地块」という不思議な雰囲気の曲と、ラストの絵本読み語りでBGMに使われた曲が突発Wアンコールとして演奏された。

 これまで独奏でのダルシマーしか聴いたことがなく、二重奏になると音の変化や厚みがまるで違うことに驚いた。
 初めて聴いた絵本とのコラボもよく考えられていて、以前に自宅コンサートで何度か仕掛けたギター弾き語りでの「歌謡劇」に通ずるものを感じる。今後にむけて参考になった。