2006年10月22日日曜日

郷愁の家

 散歩道の途中にある農地の片隅に、開拓時代の名残りを残す古い民家がある。おそらく当初はマサ葺きだったであろう屋根はトタンに変えられているが、外壁は昔と変わらない無垢材のドイツ下見板張。
 いまは農機具などをしまう倉庫に転用されているようだが、私が生れ育った家もこのようなスタイルであった。


 平面の凹凸がほとんどなく、単純な流れ屋根。構造、断熱、コスト面での無駄がなく、何よりも素朴な美しさがある。北国の住宅の原点がここにある。

 通りかかるたびにいつも立ち止まり、じっと眺める。ふと、遠い昔の記憶が懐かしく呼び覚まされる。私の家造りのモチーフは、おそらくこのようなものだ。