新年度最初の地区センター図書館、本修繕ボランティアの日である。雪も街からほぼ消え、穏やかで過ごしやすい日和。
9時半に到着し、参加者は継続メンバー4名、新メンバーが2名、計6名だった。先月の見学会に参加した4名のうち、2名は正式加入になるようで、ボランティア保険の書類も提出していた。
さっそく作業に取り掛かろうとしたら、作業棚の様子がいつもと違う。3段の棚に名札が貼ってあり、上から順に「前回作業の終えた本」「今回補修対象の本」「今回作業を終えた本」と記載がある。
係員からの説明で、新年度から各自が担当した本の修復後の状態を、本人が確認する方式に改めたいという。いわば「検本」のような概念で、これまでは係員がやっていたが、補修の責任範囲を明確にし、スキルを向上させるには必要な措置かもしれない。
「前回、自分がどの本を修復したのか、覚えていられない」との声がメンバーからあり、棚に並べるだけでは記憶に限界があるのは確か。
台帳を作って記録するとか、補修した本に名前入りのしおりを挟むとかの案が出たが、どれも手間がかかりそうでスッキリしない。
この種のことを継続させるには単純であることが必須。そこで数十年前から私が新聞&雑誌スクラップ整理でやっている「見出しカード方式」を提案した。
大きめのカードの端部に見出しを記入し、カードの向こう側に情報を順に並べていく手法で、単純だがわかりやすく、検索も容易。
今回の場合なら、担当者の分だけ記名入りのカードを作り、作業を終えた本を自分のカード横に並べるだけだ。
ひとまずこの手法でやってみることになり、係員がさっそくA4大の厚紙をメンバー分だけ用意。端部に名前入りの見出しを貼り、図書室の作家別閲覧棚に習って、修理した本は右側に並べることに決まった。
いろいろあって、実際の修理作業を始めたのは10時を過ぎていた。見返し部分の端部がはがれた絵本の修復に手間取り、ボンドを乾燥させつつ進めたこともあって、これだけで1時間が経過。
ボンドが乾くまでの時間を使い、同時進行で別の本も修復。ノド部分(ページの谷間)のはがれ修復を中心に、計5冊を終わらせた。
12時になって修理対象棚から本が消え、この日の全作業が終了。人手が多いとやはり捗る。
「今回作業を終えた本」の棚には、クリップでガチガチに固定された修理本があふれた。2週間後の次回、各自がクリップを外して検本し、問題がなければ通常閲覧棚に復活となる。