2007年1月10日水曜日

8年目の手摺

 家を建ててから8年目の新年を迎えた。家の内外に使ったすべての素材は時の流れと共に静かに朽ち果てて行き、それは誰にも止めることは出来ない。
 大切なのは経年変化でもそれなりの美しさを保てる素材を、いかにして使うかである。

 日々の手入れを第一に挙げる考え方もあるが、手入れには時にかなりのお金がかかる。計画の初期段階で、なるべくメンテナンス費用のかからない素材や手法を選択しておくことが肝心ではないか。


 写真は8年目をむかえた我が家の階段手摺である。ツーバィ材を加工しただけのもので、本来は構造材として造られた素材。最初に自然保護塗料を自分で塗り、年に1回だけ雑巾にクレンザーをつけ、汚れをふいてやる。
 構造材とはいえ、無垢材なので時の流れと共に日焼けし、手垢で磨かれ、独特の風味が出てくる。部分的に小さなキズも見られるが、それは長い時間の積み重ねを裏付けるものであり、老いて行く人間の誇らしいシワのようでもある。

 自然素材の家を選択するのなら、このように手垢の汚れや小さなキズさえも愛しいものとして受け入れる「覚悟」のようなものが必要だろう。
 それなくして、イメージだけで安易に自然素材を取り入れるなかれ。